fc2ブログ

朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

ミットの無いキャッチボール。(プティフール:静×芽衣)

2009-02-16-Mon-21:03



【ミットの無いキャッチボール。】

(プティフール:静×芽衣)







=====================



「ねぇ、どういうつもり?」

 唐突に真後ろから聞こえた声に、芽衣は困惑しながら瞬いた。
 そう。

 時は、時計の針が丁度十二を指した頃である。


 頭の上には黄色い太陽。
 煩いくらいの蝉の声。
 退院した祖父をオーナーに迎え、再び動き出したプティフールは連日賑わいを見せていた。
 いや、丁度一年前。自分と…そして、目の前にいる、不機嫌そうな…よくよく見なければ解らないけれど、それでも、無表情に見せかけた不機嫌そうな相手を加えた少数精鋭?で店を切り盛りし、成功したのは記憶に新しくはあるけれど、それでも、やはり、本来の姿である今の状態と比べれば、あの日々は、決して長続きはしなかっただろうと…今になってようやく思う。
 圧倒的な人手不足。
 ラッキーにラッキーが重なった。それゆえに、持ち答える事のできた日々。
 決して楽ではなく、苦労の連続ではあったけれど、とても楽しくて。
 そして…
「何」
「いえ、それは私のセリフです」
 目の前のこの人に恋をした。
 まさに、マイペースが服を着て歩いているかのような、藤堂静。この人に。
「俺が言いたいのはただ一つ。アンタが何をしているのかって事」
 久方ぶりの二人の休み。
 いつも、お店で顔を合わせてはいるものの、こうして、出かけるのは本当に久しぶりで、柄にもなく、前の日楽しみにしすぎて眠れなくなるくらいに、楽しみにしながら家を出た。
 確かに、早く家を出すぎ、待ち合わせの場所に到着したのは一時間前…という失態こそ侵しはしたが、正直、時間に遅れたわけでもないのに、相手が不機嫌になる理由が解らない。
 だから…
「静さんを待ってました」
 この答えは正しいもので。
 けれど、相手は更に、ムっと眉を寄せる。
 …と言っても1ミリほどだが。
「俺が言いたいのは別の事。アンタが楽しみにしすぎて早く来過ぎたのは知っているし、かなり頑張って可愛くしているのも解っている」
「ちょ、な…?」
「正直、メロメロ、もしくはデロデロ」
「…し、静さん?」
 気のせいか、相手の頬が僅かに赤い。
 ならば、怒っている訳ではないのだろうか……


 否。


「けれど、アンタが可愛すぎると虫が沸きすぎ」
「虫って…」
「ついてそうそう、一匹目」
「…?」
「三十分後に二匹。五分前には三匹。…まだ、言って欲しいとか言うなら言うけど」
 意味が良く解らない。
 来てすぐに虫なんて見かけなかったし、ましてや、そんなに近寄っていたら、自分が気付かぬはずがない。
 ならば、静の言う虫とは一体何か。
 そもそも…
「ずっと…見ていたんですか?」
「見ていた。待っているアンタは可愛いし、不安そうにしている姿を見たら、もう、持って帰るしかないとか思ったわけ」
 けど、アンタは恐がるだろうし。


 気のせいだろうか。会話が繋がっていない。そんな気がする。


 いや、静と付き合うようになってから、独特のこのテンポに慣れてはきたのだが、流石にここまで謎な事は久方ぶりで。
 瞬き、悩み、考える。
 つまり、こういう…ことだろうか。

「虫避けスプレーしろって事でしょうか」
「………いい加減、気付けと言いたい」
 どうやら間違っていたらしい。

 首を捻り、再び考え、けれど、答えは出てこない。
 降参とばかりに相手を見れば、不機嫌な表情の変わりに、どこか呆れたような色をその目に宿し。


「もういい。アンタが鈍いのは前からだし、だからと言って、このままここに置いておけないし、だったら、もう、家につれて帰るしかないわけで、泣かれるのは正直嫌だし、ごめんこうむりたいけれど、これ以上、俺以外の存在がアンタ見るのが耐えられない。そもそも、邪魔するヤツは馬に蹴られて宇宙旅行でもすればいい…て、言えば満足?」
「すみません。やっぱり、意味が…」
 解らないと告げかけた口は、その形のまま固まった。
 そう。

 引かれた腕。
 出来た影。
 ゆっくりと細められた眼差しは、彼にしては上機嫌。
 痛いほどの視線を体中に感じる所と見てみると、周りにはそれなりに通行人が居るわけで。

「アンタを俺のものにする。つまりは、そういう事」
「ちょ、え、えぇぇぇぇぇ?」


 頭の上には黄色の太陽。
 煩いほどの蝉の声。
 半ば強引に引かれた腕と共に動く足は、当初の目的から遠ざかり……



 その、約一年後に、まさか赤の絨毯を歩く事になろうとは。その時の芽衣は予想すらしていなかったのである。



======================

あとがき。

何故、今更にプティなのかと言いますと、実は、ずーっと、ずーっとずーっと前から、静さんは、最低でも後一本は書きたいなぁと思っていたわけです。そして、最近、ちょっと筆が乗っているので、ついでに書いちゃうかーっと思って、書いてしまった結果がコレです。
プレイなんてずっとやっていなかったので、口調がとてつもなく微妙です。…うん。
スポンサーサイト



COMMENT



優紀ちゃんへ。

2009-02-17-Tue-22:30
優紀ちゃん、こんばんはーっ!
先ほど、メールもお送りいたしましたが(リアルタイム)
うわぁ、久々のプティ、楽しんでいただけましたかっ!良かったーっ!
いやもう、読む方も居ないだろうなぁとか思っていたのでっ。でも、自己満足でいいやとか思っていたので、優紀ちゃんのコメント、本当に嬉しかったです!
いやもう、メッセでも書きましたが、この静×芽衣は、優紀ちゃんにささげますともーっ!ぜひにぜひにっ。

静のセリフって、ものすごく特徴あるのですけど、でも、特徴ありすぎて、逆に、間違えてしまうと静らしくなくなってしまうのですよっ。
なので、優紀ちゃんの「静らしい」のコメント、とても嬉しかったですっ!
いやだって、静、絶対、独占欲強いし、無表情で可愛いとか平気で口にするし、自己完結してつっぱしりそうだしっ!
いやぁ、もう、プティでは静、断トツで好きですー。
プティ本…プティ本っ…
か…書いてみたいですねぇ。
と、あまりの嬉しさに、とことん長くなってしまいましたがお返事です(笑)

本当に本当にありがとうございましたーっ!!

管理人のみ閲覧できます

2009-02-17-Tue-00:36
このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿

HOME