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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

宵闇。(薄桜鬼:風間×千鶴)

2009-02-22-Sun-20:08




【宵闇。】

(薄桜鬼:風間×千鶴)







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「来い」
「へ?」

 季節は冬。
 時は丁度、月が真上に昇る頃。
 いつものように、寝巻きへと着替えた千鶴は、紡がれる音に、何を言われたのか解らずに瞬いた。



『寝るぞ』

 それは、いつものように告げられる一言で。
 その言葉が相手の口から飛び出せば、それが例え食事中であろうが、風呂に入っていようが、布団を用意し、相手が寝る準備を整えるのが千鶴の日課でもあった。
 正直、鬼である彼が人と同じように夜に睡眠を取る事が必要なのか…と問われれば、千鶴も首を傾げざるを得ないのだけれど、それでも、彼が寝ると言えば、寝る準備をしなければならないのだし、逆に、起きるといわれれば、朝食の準備をしなくてはならない。
 まるで、召使と主のような関係。
 まぁ、実際、本人同士の間ではしっかりと恋愛感情が行きかってはいるものの、それが、他人から見た、千鶴と風間千景の関係だった。

 だから…
「何をしている」
 問われる言葉に、千鶴は再度、その場に立ったまま相手を見下ろし何度も瞬く。
 捲られた布団。
 横向きになった相手の姿。
 口角を僅かに上げ、まるで、その様は自分が相手に隣に入るのを待っているかのようにすら見え。
「いえ、ですから寝ようと」
「ならば、来い」
 やはり、意思の疎通が出来ていない。
 いつもならば、千景の隣に敷いてある布団の中が、千鶴の寝る定位置でもあった。
 だから、今日もそこに…と思っていたのだが。
「いえ、意味がちょっと…」
「それとも、お前は、床の方が好きなのか?」
 言葉と同時に、肘をつき、起き上がろうとする相手の姿。
 いや、いやいやいや、少し考えてみて欲しい。
 例え、例え、自分が床で寝る方が好きなのだとしても、相手もわざわざ、床で寝ようとする意味が解らない。
 そうまでして、自分と一緒に寝たいのだろうか。
 そこまで考え、千鶴はゆるりと首を横に振る。
 確かに、自分と相手は想い想われ、一言に恋人同士…とも呼べる関係なのかもしれない。
 だが、想いを通わせて数ヶ月、今のように共に寝ようと声をかけられた事もなければ、口付けをされた事すらなかったのだ。そう、蝦夷の地での、あの一度だけ。
 彼の自分に対する、解りにくい優しさは疑いようもなく、愛されている…とまでは行かないにしても、気に入られている事くらいは解っている。
 だから、側に置いてもらえるだけでも幸せなのだと…そう、思って…
「床は、好きじゃありません」
 とりあえず、起き上がろうとした相手を一言の元、押し留め。
「それに、千景さんと一緒には寝ませんよ?」
 眉を潜める相手に、更に言葉を落す。
「いつもみたいに、ここで寝ますし。…あの、寒いようでしたら、布団をもう一枚…」
 相手が言葉を紡ぐ前に、この場は去る。それが正解。
 踵を返し、押入れから布団を持って来ようと……
「約束が違う」
「へ?」
 引かれる腕。
 反転する世界。
 気がつけば…
「ち、千景さん!?」
 体に回された腕に、目の前にある紅の眼差し。
 いらついたような色を宿し、そのくせ、口調は気だるげに。
「鬼姫が言った通り、三ヶ月は守った」
「お…千ちゃん、ですか?」
 かけられる布団。
 相手の体温で暖められていたせいだろう。
 冷えた両足に、布団の温もりは心地良く。だが、それ以上に…
「お前を恐がらせるなと言われたからな」
 ゆっくりと上がっていく口角に、同時に触れる相手の唇。
 大きく見開いた眼差しが、よほど相手にとっては面白かったのか、くつりくつりと漏れる笑み。
「目が今にも落ちてしまいそうだが…」
 言葉と共に、今度は瞼に何かが触れた。
 それは、今まで感じる事の無かった…多分に甘さを含んだ口付けで。
 跳ねる鼓動。
 頬に上る熱。
 甘い疼きと…
「お前も、待っていたのだろう?」
 囁く声音に、思考全てが持っていかれた。
 一体、千姫に何を言われたのか。
 何故、千景はソレを護っていたのか。
 そして、今日、自分を布団に入れて何をしようとしているのか。
 尋ねる事は多大にあって、けれど…
「目を潰れ」
 魅入られたかのように瞼を閉じる。
 再び落ちる唇と、強く…強く己を抱きしめる相手の腕に、体全てが熱を持ち。
「千…景さ…ん」
 相手から零れる笑み。
 頬、顎の先へと順々に唇は落ちていき…




「千鶴ちゃん、無事!?」

 スパンと開いた障子の音に、再び世界は色を持つ。

 そこから日が昇るまでの数時間。
 風間邸の一室では、血で血を洗う、仁義無き戦いが繰り広げられたとか、られなかったとか…


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あとがき。

とりあえず、布団を捲り、パンパンと隣を叩き、早く来いと千鶴を待っている千景様が書きたかったんです。
更に言えば、素でお断りされて、何故入らないとか本気で解らないでいる千景様を書きたかったんです。そしてそして、良いところを千姫に邪魔される千景様が書きたかったんです。
…………うちの千景様はぼっちゃまだから。(言い訳)
というわけで、↑の3つを書きたいがために書いてみました。文章がどうとか、流れがどうとか、時代背景がどうとか言うのはこの際置いて置いてください。ともかく、シーンのみが書きたかったのです。
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