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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

人の噂も75日。(リトルアンカー:藍澄←フェンネル ラルフ視点)

2009-06-06-Sat-21:21

【 人の噂も75日。 】

(リトルアンカー:藍澄←フェンネル ラルフ視点)




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 ラルフにとって、フェンネルという存在は、決して近づけない憧れて憧れて憧れてやまない存在だった。
 いつか自分もそうなりたい。
 隣に立とうなんて大それた事こそ思いはしないが、それでも、共にいたい。
 あの人と共に駆けていけたらと、そう思い。
 だが………

「…フェンネルさん」

 ここは、フェアメッセンジャー、整備デッキである。
 収納されているSGの中でも一際目立つ、赤のカラーリングを施したSGの傍らに座るその存在を、壁の影から見つめながら、ラルフはじっとその姿を見つめていた。
 銀色の髪。
 赤の瞳。
 ICSEOのエースパイロット。
 フェンネル・ヨーク。
 その姿は凛々しく、見るものを魅了せずにはいられない。
 それはさながら、かつて地球上に存在した、狼と呼ばれていた存在を思い起こさせ……
「………フェンネルさん」
 ラルフは壁に手をあてて、再びその名を小さく紡ぐ。
 そのフェンネルが、最近、変だという事に気がついたのは、幾度かのエリュシオンとの戦闘を終え、コロニーに立ち寄ったその時だった。
 一時期、行方不明になった携帯が戻り、不機嫌そうだった彼ではあったのだが、とある日を境にして、その雰囲気はまったく別のものになっていた。
 常に上がる口角。
 以前であるならば、携帯など必要最低限の時以外は使ってすらいなかったにも関わらず、暇さえあれば、携帯を耳に当てている。
 誰かにかけているのかと思えば、彼の口は動く事はなく……
 正直、ラルフにとってその異変は喜ぶべき事だと言ってもいい。
 確かに、孤高の雰囲気を持つ彼に憧れ、格好良いと思ってはいたが、決して怒鳴られたかったわけでも、蹴られたり、殴られたりしたかったわけでも、もちろん、嫌われたかったわけでもない。
 むしろ、声をかけられたいし、談笑すらしてみたい。
 …まぁ、それは無理にしても、日常会話くらいはしてみたいと思うのが現状だ。
 そして、そこまでこそなってはいないものの、今のフェンネルはラルフが声をかければ、それでも、僅かに笑みを浮かべてくれるようにはなっていた。
 不満などあるわけがない。
 不満など…
 しかし、不満はなくとも気にかかる。
 何故、彼がこうまで変わったのか。
 しかも、少しずつ…などという生易しいものじゃない。
 突然だ。
 ラルフは、その原因が携帯にあるのだと考えていた。
 今まで記してきた、フェンネル・ヨークの観察日記。
 それを片手に持ちながら、ラルフは僅かに視線を落とす。
 この日記には、今まで自分が目にしてきた彼の全てが書かれていた。
 それこそ、戦闘時の撃破数はもちろんの事、食事のメニュー。寝ている間の寝言の内容。愛用のシャンプー何かまで。…まぁ、確かに外出時にまかれた事は多いため、私生活では穴だらけであるものの、それでも……

 カタリ

 整備班によって騒がしいはずのデッキの中に、聞こえるはずの無い小さな小さな音が響く。
 それは、ラルフでなければ気付かぬほどの小さなもの。
 そう……
 立ち上がる彼の姿。
 ポケットに入りそびれた携帯は、床に落ち、そして…………
 くるくると回りながらラルフの足元までたどり着いたその存在は、丁度壁の影になっているために、彼の視界には自分の姿と同じく消えたように感じただろう。
 千載一遇の大チャンス。
 カツカツと音と共に近寄る足音は、きっとこの携帯を取りに来る、そのためで。

 ばれたら殺される。
 いや、殺されるまでもないが、軽く顔の形が変わるまでボコられるだろう。
 しかし、この携帯を見ればきっと、彼の秘密がわかるはず。
 バクバクバクと音を立てる己の鼓動。
 近づく足音。
 頭の中で広げられるカードは3枚。
 拾う・逃げる・隠れる。
 そう、やる事なんて決まっていたのだ。

1、 携帯を拾い。
2、 ダッシュでその場から離れ。
3、 見つからぬように、コンテナの陰に身を隠し。
4、 …………携帯を開き、リダイヤル。


『ピンポンパンポーン。タダイマ、10ケンノ、デンゴンヲ、オアズカリシテオリマス』

「…………」

『あ、フェンネルさん?…藍澄です。……その、この前の、あの場所で待ってますからっ』
「…………」
『ノコリ ノ デンゴン アト 9ケン』

「………フェンネルさん。これは……」

 まさか…とは思っていた。
 まさか、彼が変わったその原因。
 それは、つまり………っ!!!!
「何を…している」
 声と共に頭に感じる激痛と、見なくとも解る、思い切り向けられたその殺気。
 だが……
 ラルフは、半涙目になりながら振り返る。
 彼の指が頭に食い込んでいるため、かなりの力をかけなければ振り向く事は叶わなかったが、それでも、ラルフは必死の思いで振り向いた。
 そう、言わなくてはならない。
 謝罪…などではない。
 そんな事よりも、もっと…もっと……
 相手は予想通り、己の憧れの存在で。
 追いつきたくて、認められたくて、彼のようになりたくて…彼が何をしても、きっと自分は彼を憧れる事を止めないだろう。
 だが、だがである。
「ラル…」
「フェンネルさんっ!僕、出会い系だけは許せませんーーーーっ!!!!!!」
「なっ!!!!!!」

 整備デッキに響き渡ったその声に、しばらくの間、フェンネル・ヨークが出会い系を愛用している…という噂が、まことしやかにフェアメッセンジャー内に広まったとか、広まらなかったとか。





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あとがき。

お、思わず…書いてしまいました。…だ、だってっ!フェンネルが藍澄の携帯の留守電で呼び出されたって言われたら、こんなシーン想像しちゃうじゃないですかっ!(逆ギレ)
だって、彼、絶対留守電を繰り返し聞くと思うんですよ。
それで、そんなに俺に逢いたいのかよ…とか一人で思って、嬉しくなっちゃうんじゃないかと思うんですよっ!で、それを見ていたストーカーラルフ君が、フェンネルさんが変だっ!とか思って、盛大な勘違いをしちゃうんじゃないかとっ!
というか、ラルフ君はフェンネルマニアだと思います。
密かに、フェンネル写真集とか自分で作っていると思います。
そして、フェンネルに見つかって、ビリビリに破られたあと、涙流しながら、それでもめげずに、フェンネルさんの行動記録その29とか作ってればいいと思います。
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