fc2ブログ

朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

産声。(リトルアンカー:レイシェン×藍澄)

2009-06-15-Mon-23:52



【産声。】

(リトルアンカー:レイシェン×藍澄)






====================



 伸ばされた指は母のもの。
 頭を撫でる掌は父のもの。
 暗闇の中に浮かび上がるその影に、自分も笑みを返し、言葉を紡ぐ。
 近づく足音。
 耳障りな雑音。
 開いた扉。
 入り込んだ光。
 逆光で見えないその存在は、激しい火花と共に、肉塊を散らす。
『民間人…っ!?』
 流れ行く色は色に在らず。
 倒れ行くソレは、人に在らず。
 伸ばされた指も、触れていた掌も、己の頬を髪まといながら大地に落ちて、やがて…露になるは、紫の…………


「レイシェンさん?」

 届いた音に瞼を開き。
「レイシェンさん?」
 触れた指に景色を映す。
 視界に入る青い空と、頬に触れた温もりに、レイシェンは意図せず口角を上げていく。

 あの戦いを終え、エリュシオンはその役目を終え、地球へと戻ってきた。
 まるで、戦いの日々が嘘のように自分達を歓迎する人々の中で、幸せそうに…けれど、どこか哀しそうに、大地に降り立つ少女の姿。
 それは、初めて…そう。この地球で少女の姿を見止めたあの頃と何一つ変わらぬように見え、けれど…
「藍澄」
 紡ぐ声に、微笑む少女の眼差し。
 随分、大人びた…と、そう思う。
 理想だけを口にして。
 自分から見れば安っぽい正義感。
 感情のままに行動し、その先に何があるかなどと考える事すらしなかった。
 力を伴わぬ理想など、単なる愚か者の戯言にすぎぬのだと、何度、周りが言った所で理想を追う事をやめようとはせず、戦場には似つかわしくないほどに、真っ直ぐで…
「こんな所で寝ていると、風邪をひきますよ?」
 いつまでも応えぬ自分に、未だ寝ぼけているとでも思ったのだろう。
 さぁ…と伸ばされた手に手を重ね、レイシェンはその腕を引き寄せた。
 幼い少女。
 愚かな少女。
 哀れな少女。
 愛しい…少女。
「っ、レイシェンさ…?」
 逃れようともがく体を、もう片方の腕で囲い込み、レイシェンは少女を抱き締めたまま瞼を閉じる。

 戦いを終えた今でも。
 復讐を止めた今ですら、己の中に巣食う闇は未だ溶けず。
 ともすれば、頭を擡げ、周りを傷つけようと蠢くことは、たびたびあって、けれど…

「あの時の続きを言っていなかったな」
「…?」

 この命を救いたいと思った。
 復讐のためだけに戦ってきた自分の命をかけても、腕の中にある、この、甘い理想を口にする存在を、生かしていたいと、そう思った。
 こんな…生きている価値などたいして無いだろう自分を、生かしたいと言ってくれた少女のためならば、復讐を諦め、全てを捨ててもかまわない。
 そう、思った。
 だから…
「俺は…お前を…………」




 ノイズによって消された音は、ようやく風に乗って少女に届く。
 
 地球という小さな小さな世界の中で、幼い想いは宙へと駆けた。




=================================

あとがき。

レイシェンは、大きい図体をしながら、藍澄を抱き締めて、両腕で閉じ込めるイメージです。この人、絶対、ゲーム中が甘さ控えめだったので、箍が外れた瞬間、溶けるよってなくらいに、甘さ大爆発なんじゃないかなと。
指先に指を絡めたりとか、髪を触れて幸せそうに微笑んだりとか、スキンシップ大爆発するんじゃないかと思います。
スポンサーサイト



COMMENT



コメントの投稿

HOME