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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

跡。(ワンド:アルバロルート)

2009-07-23-Thu-03:40



【跡。】

(ワンド・オブ・フォーチュンSS:アルバロルート)

※注意※
このお話は、アルバロルート、最終試験でのネタバレを含みます。…というか、もう、シーンがばっちり出てきます。それでもよろしければ、このまま↓へとお進みください。







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「待ってくだサイ、ルル」
 立ち去ろうとする少女へとかけられたその声音に、アルバロは笑みを深めていく。

 ルルに己の正体を晒し、命を賭けたゲームを持ちかけた。
 好意を示す眼差しは、怯えへと変わり、信頼の変わりに向けられるのは疑心の二文字。
 信じたいと眼差しに宿しながらも、信じられないと揺らめく心。
 食堂のスープには毒を。
 差し出す手には剣を持ち、彼女に安堵させる間すら与えずに、ただ、ひたすらに追い詰めていく、この、快感。
 【アルバロ】という名の生徒では、決して向けられなかったであろう、彼女が持つ、いくつもの初めての負の感情を受けながら、アルバロはかけられた声に振り向いた。
 視界に入るのは、つい先ほどまで、自分と…そして少女と共に食事を取っていた、王族と呼ばれる存在で。
 おそらく、ルルの容態を心配しての事だろう。彼の眼差しは顔色の悪い少女へと向けている。だが…
「なんだい?でん…」
 本来ならば、いつもと同じ口調で【殿下】と続くべく音は、最後の言葉を言い終わる前に止まっていた。
 少女を心配する眼差しは何一つ変わらず。
 少女を心配する口調も何一つ変わらず。
 だが…
「ルル、大丈夫、デスカ?」
 気遣わし気な、その声の裏で…
「………やるじゃないか」
 腹に当てられたナイフに気がついた。
 彼は自分を見てはいない。
 少女へと向かう囁きは、少女だけへと向けられたもの。
 アルバロ本人には、ただ一つとて、声をかけられたわけではなく。それでも…
「…………」
 こぼれる笑み。
 溢れ出す快感。
 そう、それは明らかに殺意。
 穏やかな口調と態度に隠された、自分だけが気づいた。彼の、真実。
「…駄目だよ。まだ、渡せない」
 くつり くつり と笑みを零し、アルバロはビラールに背を向け歩き出す。
 そう、今はまだ…

 ざわめきの中に、ただ一つ…真実だけが残された。




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あとがき。


何気に、いろいろと気づいている殿下が好きです。そして、殿下だったら、あのアルバロに喧嘩を余裕で売るんじゃないかなぁと思います。でも、正義感を前面に出しての喧嘩じゃなく、どちらかというと牽制。ルルの意思を尊重するけれど、いざという時は判断出来る人じゃないかなぁと。
というか…アルバロとビラールはマブダチで良いと思います。
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