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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

19 いまでもだいすきだよ (緋色:珠紀←遼)

2009-09-29-Tue-23:07


【さいごにきみとみるせかいがどうかきれいなものでありますように30題 】

(お題はオセロ様からお借りしました。)

19 いまでもだいすきだよ

(緋色の欠片:拓磨×珠紀前提、遼片想い話)




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 それは温もり。
 それは優しさ。
 それは、孤独では無いという事。
 それは…決して、トクベツにはなり得ぬものなのだと、そう、気付いてしまった。
 
 空には灰色の雲が垂れ込め、吐き出す息は外気の冷たさに大気を白く染めていた。
 足元には、既に溶け掛けた…かつて、雪であったもの。
 それをブーツの裏で踏みしめながら、遼は前を歩く少女へと視線を向ける。
 幾度…
 そう、幾度、こうしてこの道を共に歩いたのか。
 あの戦いを終え、一見して平和…と言える日々が再び戻り、自分は少女の仲間として受け入れられて、そして…
「遼、置いてっちゃうよ?」
 僅か離れた場所から響く声に、遼はゆっくりと視線を向ける。
 茶色の髪が、風に攫われ舞っていた。
 首を護るのは紅いマフラー。
 紺色のコートに身を包み、隣には…
「………クソ」
 舌打ちと共に息を吐き出して、遼は再び視線を足元へと向けていく。
 ちらつく、赤い頭。
 当たり前のように少女の隣を歩くソノ存在を、遼は嫌で、嫌で、仕方が無かった。
 笑い声が聞こえるたびに。
 視界に笑みが入るたびに。
 ソイツではないだろうと。
 ソイツはオマエを殺した存在なのだと。
 己のものではない己の記憶が声を発し、同時に湧き上がる嫌悪感。
 遼自身…拓磨の存在は認めていた。
 本人には決して言わないけれど、それでも、珠紀を護ろうとするその姿勢、そして、彼が少女を想う、その心は真実なのだと解っているから。
 それでも…
「遼?」
 問われる声に、視線を上げる。
 心配そうに向けられる眼差し。
 一つ…だけではない。
 もう一つは…
「どうして、ソイツなんだ?」
 それが自分の記憶なのかも。
 それが自分の想いなのかも。
 それが真実、自分が感じ、思った事なのかすら解らない。
 他の守護者はどうかは知らないが、少なくとも…少なくとも、自分は、過去の記憶があり、過去の想いがあり、過去の苦しみを持っていた。
 だから…




「遼?」
 愛しい少女の声が、聞こえる。





 遼が、その事に気づいたのは全ての戦いを終え、自分が守護者の一員として彼らと接するようになってからだった。
 煩わしい人間関係。
 おせっかいな彼らの姿は、時に自分を苛立たせ、だが…不思議と嫌では無かった事を覚えている。
 何より、側には彼女が居た。
 笑い、怒り、くるくると変わるその表情は、戦いの最中自分が決して側で見る事のできなかった表情でもあり、同時に…
「拓磨っ!」
 届く声に、痛む胸。
 何故痛いのかは、解らない。
 だが、よく笑う少女の表情が赤い頭の彼に向けられる時だけ、少女の笑みは特別へと姿を変えた。
 誰よりも優しく。
 誰よりも愛しく。
 変わる瞳の色と、そして……


「珠紀」
 考えるよりも先に、体が動く。
 離れる少女の体を引き寄せ、背からそっと抱きしめて。
 睨み付ける赤い頭の男へと笑みを向け…

 あぁ、そうか。自分は…



 …おまえが好きだ。



 その言葉を、ずっと言いたかっただけなのだ。





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あとがき。

カウントダウンが出来ていないので、以前書いたストックを微妙にアップです。このお話は、同人誌「宵夢」を作成する際に、リクで拓珠←遼のお話が読んでみたいといただきまして、宵夢には、このバージョン違いが2つほど載っていたりします(マテ)全部で3つほど作ってみたんですけど、同じような題材だからアップは控えようかなとか思ってたんですけど、でも、新しいのを作ってアップするのはちょっと、忙しくて無理で(言い訳)
で、ですね、遼は格好良い男の子で、多分、拓磨と珠紀の事を本当に見守る事が出来て。でも、このお話しでは、あえて、ジリジリとドツボに嵌る遼を書いてみました。遼に間違った前世の記憶があった場合、どんな風に思うのか…的な感じです。ちなみに、間違いというのは、全部を知っているわけじゃなく、断片的に覚えているがゆえの間違い…的な感じで。
前世の犬神は拓磨…常世神にたいして、良い感情を持っていなかったんじゃないかなぁとか。その感情に引きずられながらも、珠紀を想う遼の姿というのを書いてみたかったんですよね。説明を入れないといけないSSって…とか思いながらも、ここまで読んでくださってありがとうございましたーっ!
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