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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

27 すてきなせかいにわかれをつげて (ヒイロノカケラ:怜×沙弥)

2009-10-06-Tue-20:22



【さいごにきみとみるせかいがどうかきれいなものでありますように30題 】

(お題はオセロ様からお借りしました。)


27 すてきなせかいにわかれをつげて

(ヒイロノカケラ:怜×沙弥)





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「俺はね、先輩」
 薄れ行く景色。
 不思議と懐かしく見える景色。
 オモイカネが望んだ、平穏の地。
 寒名市ではありえない緑と赤と黄色と茶色。そして…青色に彩られたその世界に別れを告げながら、怜は腕の中の温もりを抱きしめながら言葉を零す。
 必死に自分に抱きつく少女には、恐らく己の言葉は聞こえていないのだろう。
 聞かせるつもりも無いけれど…でも、それでも、怜は、この世界に別れを告げる前に、告白したい事があったのだ。

「……この世界が、不思議と懐かしくもあったんですよ」


 オモイカネに取り込まれ。
 この世界を目にして。
 道を歩き、木々に触れ、続く石段。
 荒れ果てた境内。
 当たり前のように民家の入り口の扉を引いて、埃と、土と、草に荒れた家の中へと足を踏み入れて。

 零れ出た涙を…きっと、自分は、忘れない。

 外に出たくて、外の世界を知りたくて。
 けれど、ここに来たくて、この場所に居たくて。
 それは確かにオモイカネの意思でもあったのだろう。だが…

「俺の心がね、ここに戻りたいって、言っていたんです」

 それは、怜本人の意思ではない。今でならば…少女が連れ戻しに来てくれた今ならば、自分の意思でないと自信を持って言える。
 けれど、あの時。
 一人でここに来て、歩いた事の無い道を歩きなれた道のように歩いた。
 何かを探して、村の中をさ迷った。
 寂しくて、穏やかで、苦しくて、でも、幸せな…そんな、あるはずの無い感情をここに来てから手に入れた。
 だから、あんな事を考えてしまったのかもしれない。
 自分の居場所はここ…なのだと。

 だが……

 流れる風。
 ひび割れる世界。
 瞬きと同時に支配される闇。

 幻は幻でしかないのだと、彼女が確かに教えてくれたから…

「アンタには悪いとは思いますけど、俺は…先輩の居る世界がいいんです」

 そっと腕の中の温もりを抱きしめて、怜は小さく呟いた。


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あとがき。

短くてすみませんっ!(あばば)と、のっけからすみません。えとですね、アレです。怜が何故、あの場所に捕らわれてしまったのか…何故、あそこから出たくないと思ってしまったのか。それは、もちろん、オモイカネの意識もあるのですが、それ以上に、怜の中にある、狐邑の血があそこに居る事を望んだんじゃないかなという妄想です。
玉依姫が存在する地。恋い慕う相手が暮らしていた世界。そこは現実でなくて、そこには誰も居なくて。でも、狐邑の血は誰も居なくても、あの場所に居たかったんじゃないかなぁと。
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