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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

花をあげよう。(薄桜鬼:風間×千鶴)

2009-11-20-Fri-00:14



【花をあげよう】

(薄桜鬼:風間×千鶴)


※注意※

このお話しは、以前、友人宅での絵茶にて、【風間様】【花を贈る】のお題をいただいて書いた品だったりします。
風間さまの色っぽさを十分表しきれてないかもしれませんが、それでもよろしければ、下へとお進みくださいませ。








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 その日、千鶴は困惑していた。
 いや、困惑していたと言うのとは些か違うのかもしれない…いや、やっぱり困惑していたのだ。

 全ての決着をつけ、ここ…西の風間の家へと訪れたのは、つい、先日の事である。
 自分から…では勿論なくて、「遅い」との言葉と共に、肩に担がれて連れて来られた…というのは言うまでもないが、それでも、千鶴自身、千景に惹かれていた事も事実であったし、ここから逃げたり、出て行こうとも思っていなかった。
 だが…
「…風間さん、これは、一体…」
 千鶴は目の前に広がる白い絨毯…いや、絨毯に見えるほどに敷き詰められた桜の花びらを見下ろしながら、その心境を隠す事すらせずに言葉を紡ぐ。
 そう。千鶴は困惑していたのだ。
 この屋敷へとつれて来られ、確かに戸惑う事は多々あった。
 例えば、この屋敷に使える使用人の自分に対する呼び方が名前ではなく『奥様』だったり。屋敷内で迷子になるほどに大量にある客間の数々であったり。
 一人で入るのがためらわれるほどに大きな湯船があったり。
 だが、そのどれにしても、今の驚きに勝るものはないのではないかと千鶴は思う。
 何故なら、自分がこうして瞼を開く瞬間まで…正確に言うならば、昨夜寝たその瞬間まで、自分が見ていた景色はまったく違い、どこにでもある…とまでは言わないものの、一般的に普通の和室の姿を保っていたからだ。
 それが、どうだろうか。
 今、自分が目にしているのは床一面に広がる桜の花弁。更にその花弁は床だけに留まらず、先ほどまで寝ていた千鶴の布団。壁に寄せてある鏡台。箪笥。障子の縁にまでありとあらゆる場所に乗っていた。
 まさに、桜に囲まれた生活。ふいに、そんな言葉が頭に浮かび、千鶴は力なく首を横に振る。
 そう。千鶴とて解っていたのだ。こんな事が突然起きてしまったその理由。
 その原因は何にあるのか。
 元々、突拍子も無い事をする存在だとは思っていた。
 それでも、共に旅をしている間は、人の群れに混ざっていたためか、ここまでだとは思っていなかったわけなのだが…
「桜が好きなのだろう?」
 笑みが滲んだその声に、千鶴は更に肩を落とす。出来る事なら、再び夢の世界へと旅立ってしまいたいくらいだ。性質が悪い事に、やってしまった本人は、これが自分を喜ばせる事なのだと信じて疑っていないらしい。
 いや、もしや嫌がらせを…と、考え頭を上げるも、視界に入る相手の瞳は声の通りに楽しそうな色を称えて輝いており…
「好きです…けど」
 ものには限度があるのだと、千鶴は声に出さぬ声で言葉を紡ぐ。
 確かに言った。自分は言った。
 桜の花が好きなのかと問われ、好きですと答えた記憶も確かにあって。
 けれど…
「桜の花が、かわいそうです」
 落とした音と共に花弁を摘む。
 白い、白いその色は、ほんの僅かに痛みを与えた。
 桜は好きだ。白く、儚く散るその姿は、共に過ごした彼らの存在を思い出させるから。だから…
「散り行く花を集めた所で、存在そのものが傷つくとは思えぬが…」
 僅かに弛んだ布団を目にし、いつの間にか隣に佇む相手に気づく。先ほどの笑みはそのままに。浮かぶ色もそのままに。
「風間さん?」
「いつになったら、お前はその首を…」
 落ちる影。
 触れる指。
 眇められるその眼差しは、紅い、紅い血の色で…
「覚悟を決めろ。雪村千鶴。この俺が、ここまでお前に尽くしてやっている」

 全てに決着をつけ、千鶴がこの屋敷へと訪れたのは、つい先日の事だった。
 その日から続く、驚きの出来事の数々、その意味は、つまり…

 嗚呼、この人は、なんて…

「…何を、笑っている」

 とたんに不機嫌になるその声に、千鶴はゆるりと首を振る。
 去り際に唇を奪われた。
 手を引かれ、攫われた。
 更には大量の白い花。
 そう、彼は最初から言っていたではなかっただろうか。その事実に気づかず困惑したのは自分の落ち度。
 そう、彼はそこらに居る普通の人間ではないのだと、すっかり失念していたわけで。
「いいですよ?」
「…………」
「祝言を、挙げましょうか。風間さっん?」

 高くなる視界。
 散らばる花弁。
 足音と共に道は出来…

「少し、勿体無いですね」
 紡いだ声に、相手は笑う。


「我が妻の望みであるというのなら、明日もおまえに花を贈ろう」

 だが、その前に…



 届いた音に頷いて、触れる温度に瞼を閉じる。
 舞い、散り、落ちた白い花弁が、祝福の歌を口にした。



風間さま


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あとがき。
↑のイラストは、こっそりと、藍華さんにアップする前の原稿を見ていただいたところ、ありがたくも「描いちゃいました^^」とおっしゃっている所を強奪したものです(酷)
美麗なイラストにうっとりです。SSにイラストをつけていただけるのって、本当に幸せで(うっとり)
そして、今回のお話ですが、最初にアミダで「花を贈る」を引き、キャラを「風間さま」で引いた時にはどうしようかと思った作品だったりします。
千景さまが、花っ!?千景様が、花束っ!?と。いや…あくまでも、私の脳内でなのですが、花束を贈る千景様は想像できなかったので。
だって、千景さまですよっ!あくまでも私の想像ですが(2度目)花を贈るときって、こう、少し照れて、「ほらよ」byマヒロンくらいな感じでしか想像できず。それが、千景さまと考えると…あかん。想像付かない…というわけで。むしろ、千景さまは、花束ごときで満足できるはずが無いっ!贈るなら、あの人のことだ。相手の迷惑も顧みず、むしろ、想像つかずに無駄に大量の花を贈るに違いないというわけで、この話が出来ました(長)
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