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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

四角い箱。(三国恋戦記:翼徳→花)

2010-05-06-Thu-11:34



【四角い箱】

(三国恋戦記:翼徳→花)








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 花と居ると、嬉しくなる。
 花と居ると、心が温かくなる。
 花と居ると、これが、幸せなんだなって、そう、思う。


 翼徳は己の部屋の扉を開け、背を丸めたまま中へと入った。
 ゆうらりと部屋を照らす明かりは、きっと、使用人か誰かが点けてくれたのだろう。
 少なくとも、翼徳に部屋に明かりを点した記憶は無かった。

 もうすぐ、花が帰るかもしれない…

 それを聞いてから、己の部屋に明かりは点らず。
 それを聞いてから、寝台で横になることもしなくなった。
 部屋の隅で身を屈め。
 もしくは、庭の隅で体を丸め。
 必要なのは睡眠ではなく体を休めること。
 翌日の動きに支障が出ぬようにするためだけに、瞼を閉じる日が続いていた。
 いつか来るかもしれない日は、日毎己を苛み。
 近いうちに来るだろう別れは、心を締め付けて。
「…花」
 翼徳は己の頬を摘み、横へと伸ばす。
 ちゃんと笑えていただろうか。
 この部屋に帰る途中に聞いた、雲長の言葉では自分はしっかりと笑えているようであったけれど、でも、きっと、少女の事だから…
 自分に手を伸ばし、誰も握ってくれなかった手を小さな柔らかな手で握ってくれた彼女だから。少しでも変に思えば、帰るのを止めてしまう。そう、思うから。
「花。俺は幸せなんだ」
 胸が痛くて。
 苦しくて。
 泣き出しそうで。
 実際、泣いてしまうのだけど。
 それでも、花が生きていてくれれば嬉しい。
 幸せでいてくれれば嬉しい。
 家族と居てくれれば嬉しい。
 自分が欲しかったそれらに囲まれて、花が幸せであれば、こんなに苦しくても、辛くても、それでも幸せだと、そう、思うから。

 頬を摘んでいた指を離し、翼徳は部屋の明かりを、そぅと消した。
 影は闇に飲まれ。
 嫌に響く、己の足音。
 綺麗に整えられている寝台を一瞥し。
 けれど…
 部屋の角。書棚と壁の間へと体を入れる。
 背には壁。横には書棚。己が入れば、もうそれ以上隙間などありはしないその場所へ座り込み、ひざを抱えて瞼を閉じる。
 
 夢は見ない。
 寝てもいない。
 それでも…

 瞼の裏で浮かんで消えるその色は、夢かと思うほどに美しく…



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あとがき。

えと、短いです。翼徳は純粋で、そんなイメージを固めたくて書いてみました。こう、言葉に表すのは難しいんですが、心では、どう思っていても体は正直だぜ。うぇっへっへみたいな…(謎)
SSというよりも、翼徳イメージのまとめ?みたいな。
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