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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

18 れいめいのうすやみ(SRX:ヒジリ 第五艦隊ネタ)

2010-07-09-Fri-01:44





18 れいめいのうすやみ

(スカーレッドライダーゼクス:ヒジリ 第五ネタ)



※このお話しは、大多数を妄想で構成されております。+ネタバレも含みます。
第五が現存していた頃のお話しです。
オリキャラも出てきます。それでもよろしければ、↓へとお進みください。




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 資料室の扉が開き、音を立てぬようにと忍ばせる足音が耳に届く。
 息遣いは聞こえない。
 声も、聞こえない。
 けれど、それが誰なのか…窓際で紙に束ねられた古めかしい書物を捲る少年は気づいていた。


 この、琉球LAGへとやってきて一体どれほどの時が立ったのだろう。
 赤の世界との終わりなき戦い。けれど、今の所、少年…こと、ヒジリが研修期間を終え最年少ライダーとなってからは一度も赤の世界の住人がこの世界に攻めて来る事は無かった。
 与えられたサブスタンスとのレゾナンスも果たさず、ただただ無為に流れていく時。
 実際、自分たちなど必要あるのだろうか…と、そう思うことも多々あって。だが、この場所で活動を共にするサブスタンスを見るたびに、この平和はいつかは途切れるものなのだと実感せざるを得ない。
 そう。齢13でありながら、ヒジリはその類稀な頭脳と己の現状から、子供らしからぬ思考を持つに至っていた。
 …ここ…琉球LAGに来るまでは。
「ヒジリ君。何を読んでいるの?」
 耳に届く少女の声。
 結局、声をかけるのならば足音を忍ばせる意味などないのではなかろうか…と思いつつも、ヒジリはゆっくり視線を上げた。
 肩でそろえられた茶色の髪。
 人懐こい笑顔。
 ヒジリよりも4歳年上のその少女は、姿だけ見れば第五戦闘ユニットの教官には見えないだろう。事実、ヒジリも初めて紹介された時は目を疑ったものだ。
 事前に渡された資料から、教官が女であり、その年齢までは知っていた。経歴もすばらしく、たいそう鼻持ちならない鉄仮面のような女が来るとばかり思っていたものだが、教室で初めて挨拶をした少女は鉄仮面どころか…
「……また、フラフラして。何してンの。アンタ」
 かけた声に怯む眼差し。
 僅かに開く唇と、力なく落ちる肩。
「…ちょっと、かくまって欲しくて」
 教官とも思えぬ発言を口にしつつ、机の下に隠れようとするその姿に、ヒジリは持っていた本を口元まで上げて笑みを隠した。
 そう、目にした少女はたいそう頼りなく。
 けれど、訓練時では自分たちが驚くほどの有能さを見せ付けた。
 最初こそ異を唱えていた仲間たちも日を追うごとに少女を受け入れて。

 ダン ダン ダン ダン

 徐々に近づく大きな足音。
 この場所がどこなのかも、足音の主は気づいていないのだろう。扉前で止まると同時に大きく開かれた扉。
「ヒジリっ!教官はっ!」
 ぬぅと大きな身体を曲げるように上半身を入れた男を目にし、ヒジリはゆっくり瞬いた。
 第五戦闘ユニット最年長のライダーは、何をするにも大きな男だ。
 大きな身体。大きな声。大きな態度。そのくせ…
「また、教官に服を作ったのか」
 片手に持っているピンク色の生地を目にし、ヒジリは呆れたように息を吐いた。
 何故か繊細な指先を持っているこの男は、唯一この島の中での女性である教官に、事あるごとに服を着せたがる。
 それも…
「あぁ。今度のは逸品でなぁ。見るか?テーマは浜辺でアハハウフフ、夢見る乙女だっ!」
 ヒジリのセンスでは理解できない…所謂、お嬢様系と呼ばれるレースやリボンがふんだんに使われた服だった。
 男の両手で広げられたその服が実物よりもかなり小さく見えるのは、間違いなく男の体格のせいなのだろう。
 正直…普段の教官の姿を見る限りでは、このような服を着るとは思えない。事実、これが理由で今も少女は机の下に潜り込んでいるわけで。
「まぁ、別にそれはどうでもいいんだけどさ」
 パタン
 本を閉じてヒジリは視線のみを下へと向ける。机の下。丁度入り口からは影になってこそいるものの、室内に入られれば一発で見つかるだろう事は明白で。
 考えること数秒。
 いや、本当は最初から取るべき行動など決まっていたのだ。
 ゆっくりと、扉の男へと向かって笑みを浮かべ。
「教官なら、ここにいるけど?」
 極上の笑みと同時に机の下を指差した。
 大きく揺れる机では、間違いなく驚いた少女が頭を机にぶつけたのだろう。
 小さな小さなうめき声。
 半泣きになりながら、四つんばいになって出てくるその姿と、嬉々として部屋に飛び込む男の姿に尚も笑みは零れ出て。
「ヒ…ヒジリ君の裏切り者」
「俺は、一回もアンタに協力するって言った気はないけど。…でも、そうだな。アンタが、その服を着て可愛くお願いすれば考えるかも」
「ヒジリ君っ!」
 部屋からあふれる笑い声。

 ドジで。
 頑固で。
 明るくて。
 いつからか、スカーレッドライダーである事を誇りに思うようになっていた。
 例え、敵が攻めてこなかったとしても。
 このまま、無為に時間を過ごす事になったとしても。
 皆がいれば。
 少女がいれば。
 それで良かったと…


「っ!何でだよっ!」
 頭上に広がる赤い空。
 驚いたように自分を見つめる眼差し。
 明らかに違う、自分と仲間たちの距離。

『ヒジリ君はここに居て』

 強引にレゾナンスが解かれ、浜辺に一人取り残された。
 勝てるわけが無い。
 それは誰の目にも明らかで。
 けれど…
 けれど、ヒジリだけは違っていた。
 いや、ヒジリと仲間たち。そして少女だけは違っていた。
 だって、ヒジリは少女がどんな存在であったのかを知っていたのだ。
 だって、仲間たちも少女がどんな存在であるのかを知っていたのだ。
 笑顔の下に隠された、決意。
 優しさに隠された、願い。
 その眼差しに自分たちが見えている。そう思ったのは一瞬で、戦いになれば彼女は全ての人々を見つめていた。
 その中にヒジリ達ですら含まれる。
 そんな事いいのに…
 自分は確かに幼いけれど、彼女に比べれば、まだ、子供だけれど。
 その瞳の中に入りたくは無かった。
 守られるだけの存在でいたくはなかった。
 手を伸ばし、彼女に触れ、守る、そんな存在でありたかった。
 それなのに…


 散っていく光の筋と、広がる闇の空。
 金色に輝く月に、この世界が救われたのだとそう気づく。
 耳に届く波の音は、もう、仲間の声も、少女の声も伝えていない。
 ただ…そう。ただ…







「アキラ…俺は、アンタを…許さない」






 置いてきぼりにされた子供が一人。
受け取る者の無い唄を、黎明の空へと捨て去った。



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あとがき。

 そのうち、キャラブックとかが出て、第五戦闘ユニットの詳細とか出たらアウトな代物です。
でも、まだ出てないからいいかっ!(爽)と。いやだって、妄想だけならタダですしねっ!
ちなみに、SSに出ている大男はオリキャラです。妄想キャラ1。第五の最年長ライダー。
大きな体躯と大きな声。豪快な性格にもかかわらず、洋服作り(特に可愛らしいもの)を好むオトメンです。でも、料理は出来ません。専ら裁縫です。口調もオカマじゃないです。男らしいです。でも、可愛いものが好きです。
ヒジリの口調が違うのは、いや、だって、子供の頃からアレはないだろうと。お母さんは許しません(マテ)
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