fc2ブログ

朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

4章-6

2006-10-18-Wed-03:23

 音は無かった。
 先ほどまでの痛みも無かった。
 ただ、体を占める脱力感。
 指先一本すら動かせそうもない。
 
 目の前には少女。
 嬉しそうに微笑む少女。
「    」
 名を呼び、指を伸ばす。
 横に振られる首に、更にもう一度名を呼ぶ。
「もう、手出しはさせませんよ?」
 同じ場所にある眼差し。
 嬉しそうなその色。
「     」
 発した言葉に、やはり首を横に振られる。
「だって、ああでもしないと…先輩、気づかないでしょ?」
 鈍いから…
 零れる笑み。
 こんな笑みを、いつから見ていなかったのだろう。
 文句を言う己に、少女は笑いながら一歩下がる。
「危ない所だったんですよ?だって、力だけなら、先輩よりも全然強いし…て、だから、怒鳴らないでくださいよ」
 クスクスクスと、零れる笑みに、己も思わず笑みが浮かぶ。
 触れたかった。
 抱きしめたかった。
 少女の笑顔を見ると、確かに幸せな気分になれるのに…
 なのに、何故…こんなにも不安なのだろう。
「ねぇ、先輩。……巻き込んじゃって、ごめんなさい」
 何を…言っているのだろう。
「本当は、私だけがやらなくちゃいけないのに…先輩を、巻き込んじゃって…ごめんなさい」
 巻き込まれただなんて、思っていない。
「でもね、先輩…」
 少女の頬に涙が零れる。
「少し、嬉しいんです」
 体が…動かない。
「私、ずっと…守って貰ってばかりだったから」
 どうして、声が…出ない。
「私、ずっと…泣いてばかりだったから」
 遠くなる声。
「私のせいだけど…でも…」




『私にも、先輩を守る力が……あったんですね?』



 理解…した。
 重なる影と少女の姿。
 泣いていたのは……………

 
←4章-5 | 終章-1→

------------------------------------
あとがき。
4章終了ーっ!次は、最終章で、第一部、完です。
謎はこれっぽっちも溶けていません。けれど、個人的には満足かも…
よし、これで、リクの方へ再び戻ります。
スポンサーサイト



COMMENT



コメントの投稿

HOME