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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

突撃となりの晩御飯(ワンド:ラギ×ルル)

2010-10-04-Mon-23:08




【突撃となりの晩御飯】

(ワンド・オブ・フォーチュン:ラギ×ルル)

※このお話しは、ツイッターでルルの可愛さについて呟いた時に反応してくださった愛さんからのおねだり(違)によって書いた作品だったりします。
なので、お持ち帰りは愛さんのみとなります。尚、このお話しに素敵イラストをつけていただいたので、そちらの方は愛さんのサイト→■へと。











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「ラギ、あのね、一つ…お願いがあるの」
 ルルから告げられたその一言に、ラギは頬張っていた肉を飲み込み、瞬いた。


 場所はいつもの食堂。
 現状を語るならば、昼食デートの真っ最中。いや、これをデートと呼んでいいのかどうか不明だが、目の前に大量に積み重なった肉と、プーペが運んでくる、やはり大量のデザート。隣には恋人であるルル。その嬉しそうな顔を見れば、間違いなくこれをデートと呼んでいいのだろう。
 ラギは新たな肉に手を伸ばし、真剣な表情で自分を見つめるルルへと視線を向けた。
 先ほどまで普通の会話をしていたはずだ。
 やはり、いつも通りにお互いの食事を分け合って、どれが旨い…だの、これが旨い…だの言い合って。…あぁ、途中、ルルの頬についた肉のタレを指で拭ってやったがそれもいつもの事のはず。
 ふいに途切れた会話。
 カチャリと乾いた音と共に置かれたのは、銀色のフォーク。じっとラギを見つめる眼差し。
 正直、居心地が悪いと…そう感じた数秒後にルルの口から飛び出た【お願い】の単語。
『なんだよ』と、聞くのは簡単で。だが、ラギはこの場でそのお願いを聞いて良いのか迷っていた。ルルの表情は真剣で。誰が聞いているかも解らない…しかも、今は丁度昼食時だ。室内に居る人間の数は通常よりも明らかに多いと言って良いだろう。
 中には、盗み聞きをする輩がいるかもしれない。…とすれば。
「ここだとまずくねーのかよ」
 口へと運ぶ途中だった、フォークの先に突き刺さっていた肉を皿に置き、ラギは声を潜めルルに問いかけた。なんだったら場所を移動する…と、そう続くはずだったその言葉は。
「ううん。ここでいいのっ」
 すっくと立ち上がり、告げたルルの声と。
 ガタターン
 その拍子に後ろに倒れた椅子の音で掻き消えた。
 もちろん、決して静かとは言えない食堂内であっても椅子が倒れる音はよく響く。さらには、その音を立てた相手が立ち上がり、自分の存在をアピールしているとあっては…
「ラギ。あのねっ」
 気付いているのかいないのか。いや、間違いなく気付いていないのだろう。
 両手を胸の前でしっかと組んでラギを見下ろすその姿は必死…そのもので。それほどまでしてのお願いとは一体何なのか。
 先ほどまでの喧騒が嘘のように食堂内が静まりかえる。
 音を立てているのはただ一人。
 ピンク色の髪をした…
「ラギ。あのね、前…言っていた、ぎゅぅってしてもらうのっ、今じゃ…ダメ、かな?」
 予想は右斜めどころか一回転して宇宙の彼方に飛んでいった。
 咄嗟に何を言われているのかが理解できない。
 いや、理解しようとしているのを脳が拒否しているのかもしれない。
 だって考えてもみて欲しい。
 ここは食堂だ。
 ちなみに、周りには自分達以外にも大量に生徒がいるわけだ。
 突拍子もない事を考えるのがルルだという事も解っていたが…
「あのね、ダメだったらいいのっ。でも、でもね。ほんのちょっとだけ…してもらいたいなって」
 突然、こんな事を言い出したのは何も今日が初めてってわけでもない。
だが。
「………ダメ?」
「て、ちょっと待てっ!」
 下げられた眉。小首を傾げ。上から見下ろしているのに、威圧感など皆無。正直、可愛い。可愛いのだ。…しかし。
「こ、こんな所で出来るわけねーだろっ!だいたい何で食堂…」
「それは、僕がルルにお願いしたからだよ。ラギにもぎゅっとする時は食堂でって言ったじゃないか」
 突然割り込んできたその声は、自分達を囲む人の中から。後ろの方にいたのか、人垣を割って出てきた緑色の髪の少年をラギは殺意を込めて睨みつけた。
「燃やすぞ。テメー」
「ひっ」
 記憶は確かにあった。あれは、エドガーに渡されたルルからの手紙を読んでいたとき。なにやら、突撃インタビューだとかなんだの真っ最中だったように記憶している。だが、律儀にそんな事を守る必要はないのではないだろうか。
 ルルもルルだ。何も、こんな…
「……やっぱり、ダメ…だよね」
 無理だ。断る。そう口にしかけて、やはり、ルルの声に言葉は出ずに音は止まる。
「うん。ごめんね。ラギ」
 すぐに笑みを浮かべはしたが、傷ついているのは明白で。以前、それがもとでルルと喧嘩をした過去がまざまざと思い出され。
「あのね、ちょっとぎゅってして欲しいなーとか、思っただけなの」
「………」
「してもらわなくても全然平気だからっ。ほら、ご飯食べないとプーペさんが困ってると思うのっ」
「………」
 椅子を直し、座りなおし、いつも通りの明るい笑顔で、美味しそうと笑いながらデザートへと手を伸ばし。
 周りの人垣は何事もなかったかのように散らばって。そう。このまま行けばいつも通り。いつもの日常。昼食を食べ終わってそれで終わり。
 だが…
「…っ。もう、二度と人目がある所じゃしねーからな」
「え?」
 食事が散らばるテーブルに、ダンと音を立てて手を置いた。
 膝に力を入れて腰を浮かせば、いっきにルルとの距離が縮まった。
 もう片手は相手の肩へ。
 もとから大きな眼差しが、尚も大きく開いてラギを見る。
 僅かに開いた唇は、おそらくラギの名を呼ぼうとするも…
「…っ」
「…っ!?」
 塞いで
 抱きしめ
 突き放し。
「…っ、くっそーっ!」
 そのまま肉を背にして出口へと。
 またも静まり返った食堂内と、己の背に突き刺さるいくつもの眼差しは…
「だ、大スクープだっ!!!」
 エドガーの声で冷やかしと好奇の眼差しへと変化して。

 音を立てる心臓。
 口から火を吐くどころか顔から火が出そうなほどに熱を持っている。
 柔らかかった。
 良い匂いがした。
 それに…

「ぁーっ!!!!!ちっくしょー」

 部屋の扉を開けるまもなく、天井が高く高く高く…


 翌日、ミルス・クレアタイムズにおいて、一面を飾ったものは…残念ながら食堂内でのラブシーンではなかったけれど、三面記事においてしっかと二人の写真が載っていたのは言うまでもない。


 記者は語る。僕は彼の行動に男を見たね。



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あとがき。

色々な意味で申し訳ありません。こう、突発的に書いた作品だったので、ワンドをやり直す間もなく、思いのまま書いてしまったという…orz
このお話しは、FDのラギルートクリア後に出てくるインタビューネタだったりしています。
うん。だってほら。ルル、可愛いですよね?
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