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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

03 ごめんねつきあわせちゃって(夏空:木野瀬+葵)

2011-01-24-Mon-06:29

【さいごにきみとみるせかいがどうかきれいなものでありますように30題 】

(お題はオセロ様からお借りしました。)


03 ごめんねつきあわせちゃって


【夏空のモノローグ:木野瀬+葵】








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「ごめんね、つきあわせちゃって」
「いや」
 それを彼女に告げられるたびに、今にも泣いてしまいそうな自分の想いを、きっと彼女は知らないだろう。

 終わらない夏。7月29日。
 毎日毎日繰り返されるその中で、やはり、いつも通りの時間に降り終わった雨の名残をスニーカーで踏みしめながら、木野瀬は少女…小川葵と共に坂道を歩いていた。
 所々に出来ている水溜りも雨が降った後とは思えない青空の下ではそう長く保つ事はないだろう。
 現に、アスファルトの表面は大半が乾き、残るのは水溜りが出来ている場所とその周囲だけになっているのだから。
「本当はね、一人で行こうと思っていたんだ」
 耳に届く音は隣から。
 木野瀬はただ『そうか』と、言葉を紡いだ。
 不思議と少女の声の他にも、風が木の葉を揺らす音。暑さを増長させる蝉の声が大きく、大きく、耳に届く。それだけではなく、前のみを見つめる視界も嫌にクリアに景色を映し出していた。
汗ばむ掌。収縮する心臓。
 いや…
「木野瀬くん?顔、怖くなってるよ?」
 告げられた言葉に、知らず、眉間に普段の数倍もの本数の皺が寄っていた事に気がついた。そっと眉間に指をあて解しつつ、なんでもないと言うように、ゆるりと首を横へと振る。
 本当は…木野瀬は解っていたのだ。
特に不思議な事など何一つないことに。
 五感が敏感になるのは自分が緊張している。そのためだ。
 鼓動が早くなっているのは、自分が恐れている。そのためだ。
 まっすぐと前のみ見れば、やはり、クリアになっている視界の中央に、空へと伸びる、長い、長い柱が見えた。
 見るたびに恐怖を覚え。
 想うたびに心臓がしめつけられた。
 忘れる事のない過去の出来事。
 忘れる事すら許されない罪の証。

「ごめんね、つきあわせちゃって」
「いや」
 再び繰り返されたその音に、木野瀬は再び首を振る。
 今の自分じゃ言えないけれど。
 その、本当の意味を告げる事などできないけれど。


 ごめんな。つきあわせちまって。


 音にならない声だけが、相手に伝わらずに取り残された。



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あとがき。

設定としては、葵にツリーを見に行こうと誘われて一緒に行く途中の木野瀬の心境という設定です。もはや、設定をあとがきで言う時点でダメダメなのは自覚済みです(マテ)
なんだろう。葵が木野瀬をつき合わせているように見せながらも、本当は、木野瀬が葵をつき合わせているんじゃないかなと。いや、誘ったのは葵ですが。上手く説明できないですけど。なんと言うか…(悩)
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