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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

【天然狐の要求】緋色PS3発売記念カウントダウンSS 5日前

2011-05-22-Sun-03:28



【天然狐の要求】

祐一×珠紀

緋色PS3発売記念カウントダウン 5日前。







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 世の中、驚くことはたくさんあると思うのだが、それでも、今のこの現状を驚くなという方が無理な話しだと、珠紀は思う。
 いや、正確には驚く…と言うよりも、戸惑うと言った方が近いのかもしれないが、それでも、珠紀が困惑している事は確かである。




 もはや、初夏と言っていいのではないかと思えるくらい、日々の気温が高くなってきつつある、五月下旬。真っ青な空は、夏と呼べるほどの濃さはなく、朝夜は半袖では寒いほどだ。
 それでも、日中は気温が上がり、二十度を越す日も珍しくは無かった。
 だから…と言うわけではなかったのだが、早朝と呼ぶには聊か時間が過ぎている午前11時。休日という事もあり、少し遅めに目覚めた珠紀は散歩がてら、ぶらりと宇賀谷家所有の神社へと足を踏み入れたわけなのだが…
「祐一先輩?」
 神社よりも先に目に飛び込んだ存在に、思わず零れ落ちた声。
もちろん、相手…神社の境内に置いてある、木製のベンチで座り、瞼を閉じて寝ているらしき人物を呼ぶためでは、無い。
 いや、確かに、そこに座っている人物に間違いは無いのだけれど、本当に思わず口をついて出てしまっただけなのだ。
 その証拠に、珠紀は己の口を己の手のひらで隠し、足音すら忍ばせながら、眠る相手へと近づいた。
 整った顔立ちの守護者達の中でも、喜怒哀楽をあまり表に出さないためか『人形のような』と評される美貌を持つ祐一は、確かに、寝ている今の姿だけを見れば、人形のようにすら見える。
 だが、珠紀は閉じられた瞼が開いた時、その眼差しがどれほど柔らかいのかも。
 あまり動かない表情だけれど、浮かべる笑みがどれほど優しいのかも知っていたから…
「………」
 己自身の口から手を外し、珠紀は、それでも声を発さずに祐一の隣に腰掛ける。
 相手の瞼が開かれないところを見れば、やはり寝ているのだろう。
 待ち合わせを…していたわけでは、ない。
 確かに、相手と自分は恋人同士になったのだし、共に、どこかに出かける事もある。一般的にデートと呼ばれるソレはあるものの、行く場所と言えば山や公園や畦道や、お互いの家ばかりで、少しばかりデートのくくりからは外れているのかもしれないが、それはそれで珠紀が楽しいのだから、まだ、良しとする。
 けれど、今日のコレは…
「……うん」
 相手を起こさぬように、小さく小さく声を発し、今日の約束はなかったと再確認。
 ならば、何故、相手がここにいるのか…
 チラと横眼で相手を見れば、やはり、閉じられた瞼が開かれる兆しは見えなくて。いや、見えないどころか。
「っ」
 ぐらんぐらんと揺れる相手の頭。
 これはまったくもって珍しい。
 屋上で寝ている時も、むしろ寝ているのかと不思議に思うくらいに相手は身動きはしないのだ。
 よっぽど眠りが深いのか。はたまた浅いのか。とにもかくにも、このままでは…
「あっ」
 ひときわ大きく揺れた頭が、珠紀が居る方とは反対側にぐらりと傾ぎ。
「っ」
 そのまま倒れそうになる体を両腕を伸ばして、なんとかキャッチ。
 正直、重い。
 それもそうだ。いくら細く見えたとしても、珠紀よりもかなり背は高く、守護者の役割上、毎日のように鍛えているという事も聞いた気がした。
 腕もぷるぷると震えてきた。
 せっかく受け止められたというのに、これではあまり意味がない。
「……起きないでくださいね」
 やはり小声で言葉を発し、珠紀はゆっくりと相手の頭を己の方に引き寄せた。
「………」
 腿の上には白い髪。
 やはり、相手の瞼は動かない。
 正直…起きないでほしいと思いつつも、起きるかもしれないとも思っていたのだ。だって、普通なら、起きる。ここまでされれば起きる。いくらなんでも、起きる。
 けれど、閉じられた瞼は開く兆しが見えなくて。
「………」
 そっと指を伸ばすと、相手の髪に触れてみる。何度か触った事があるものの、この体勢では初めてのせいか、どこか、擽ったいように思えた。
 次に耳。耳の裏側。頬骨。
 腰を曲げて、相手の顔をもっとよく見ようと近づける。
 何度見ても整っているその顔は、付き合って大分経つのだというのに、見るたびにどこか緊張してしまい。
「………祐一せんぱい?」
 先ほどの一件でも起きなかったという思いからか、名を呼ぶくらいなら…と、音を発し。
 額。
 瞼。
 睫毛。
 頬。
 鼻先。
 パーツ一つ一つを確かめるようにそっと触れ。
 最後に、その唇を指先で………
「っ!?」
 大きく跳ねる、鼓動。
「珠紀」
 指に、触れた、熱。
「せ、せんぱ、い?」
 珠紀が触れたのは一瞬だった。
 すぐに離すつもりだったのだ。
 なのに……
「先輩、寝て、寝てたんじゃっ」
 とっさに引こうとした手首を捉えられ。
 指先に触れた熱は、更に熱に包まれて。
「起きていた」
 濡れた感触。
 皮膚にあたる、硬い、歯先。
 相手の唇から零れる吐息が、濡れた皮膚を撫で。
「…っ・っ」
 指の先端。
 第一関節。
 ついには、指の付け根まで。
「寝たフリだ」
 笑みの滲んだ音と共に、唐突に離された手首。
 けれど、伸びた相手の腕が、代わりに引き寄せ、望んだものは…


「一日でも、お前に会えない日は、辛い」


 天然狐は罠を張り、捉えた姫を腕の檻へと囲い込む。けれど、捉えられたのは己だと、姫を抱きつつ、愛を、告げた。




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あとがき。

発売5日前は、祐一先輩のお話しです。別に、順番に意味はありません(頷)書けそうなものから、どんどん書いている感じです。
最初、題名は【天然狐の罠】だったのですが、めっちゃわかりやすすぎるよーて事で、要求になりました。
祐一先輩の天然ゆえの本能に忠実な所が好きです。天然エロの称号は彼以外にはありえません。
ひたすら、意図せずに珠紀を振り回してほしいのですっ(ぐっ)
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