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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

【ワンコの正しい躾かた】緋色ps3発売記念カウントダウン 2日前

2011-05-24-Tue-23:04




【ワンコの正しい躾かた】


(遼×珠紀)

緋色の欠片ps3発売記念カウントダウン 3日前










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 気まずい。

 決して高い…とは言えない天井に、決して広い…とは言えない部屋。持ち主の性質を表すかのようなモノトーンの家具。かといって、シンプルすぎず、壁に背をつけ置かれたセンスの良い家電の数々。季封村でありながら、あきらかに季封村ではありえぬその部屋に、珠紀は、居た。
 もちろん、一人ではない。
 中央に置かれているテーブルの向こう側には、珠紀よりも大きな体…且つ、目つきの悪い存在もいるわけで。
「………」
 かりかりかり…と、乾いた音のみが室内に響く。
 珠紀がこの部屋へと訪れたのは試験勉強のためだった。美鶴には、ケダモノと二人きりだなんて…と、心配はされたものの、見た目に反し、そこそこ勉強ができるケダモノ…もとい、遼である。最終的には、しっかり勉強を…と念を押されて見送られたわけなのだが。
「………」
 かりかりかり…と、やはり、途切れる事なく音が、響く。
 最初に珠紀がこの部屋へ足を踏み入れた時、確かにケダモ…遼は、珠紀にちょっかいをかけてこようとしていた。
 いや、この場でなくても常に珠紀に手を出そうとする遼である。今更驚きはしないものの、今回のテストは本当に危険で。
 それこそ、珠紀にしてみれば死活問題。
 自分の周りにいる大切な人たちが、成績の良し悪しで珠紀を見捨てる事はないとは解ってはいるものの、それでも、呆れられない程度の点数は取っておきたいと思うのが人情である。
 だから……
「……遼?」
「………」
 視線すらも向けてこない相手に息を吐き、珠紀はゆっくりと手元のノートの頁を捲った。

『触らないでっ』

 言い過ぎた自覚は…ある。
 更に言えば、相手の手を叩いたのも悪かったと思っている。
 でも、それくらいしなければ、相手が離れないのもまた事実である事も珠紀は解っていた。
 少しでも隙を見せれば、勉強どころではなくなるのだ。それは、今までの行動から明らかで。
 でも、それでも…
「勉強」
「え?あっ、うん」
 視線一つ向けられず紡がれた音に、珠紀は己の手が止まっている事に気が付いた。
 勉強をするために、ここに来て。
 勉強をするために、相手を拒んで。
 勉強をするために、こんな想いをして。
「……ぅー」
 真っ白のノートを見ながら零れるのは唸り声。
 ようは、あれだ。
 あの瞬間。
 遼の手を叩いたあの瞬間。
 相手の目を見てしまったのがいけなかったのだ。
 どう頑張っても目つきが良いとは言えない眼差しが、珠紀に拒まれた、その時。一瞬…ではあるが傷ついた色を浮かべていた。
 もちろん、そんな事、プライドの高い遼自身気づいてはいないだろうし、仮に気づいたとしても決して認める事はないだろう。
 けれど、珠紀はしっかと見てしまったのだ。
 勘違い…であれば良いと思う。が、まがりなりにも恋人のそんな表情を見逃せるほど、珠紀と遼は浅い関係ではなくて。
 進まぬ勉強。
 横道にそれまくる思考。
 このままでは、せっかく勉強時間を取ったというのに散々たる結果が待ち受けているのは火を見るよりも明らかで。
 では、どうするべきなのか。
 珠紀は一つ息を落とし、再び顔を上げると、目の前に座る存在にピタリと視線を固定した。
 怒っているわけでは…ない。と思う。
 そもそも、怒っていたなら相手はこの場にいないはずで。
 つまりは、そう。拗ねている。しかも、本人無自覚なまま。
 原因は珠紀が相手を拒んだためだ。
 とすれば、機嫌を直させる方法は一つしか見当たらず。
「遼」
 名を呼び。
「ねぇ、遼」
「なんだ」
 視線を合わせ。
「私が悪かったから」
 珠紀自身が座る場所のすぐ隣。むき出しの畳を三回叩く。
 そうして後は理由だけ。
「せ…背中が寒くて集中出来ない……んだけど」
 なんてあほらしい理由だと、自分で言いながら思わないわけではなかったけれど。
 それでも…
「後ろから、抱きしめてくれたら暖かくていいかな…なんて」
 相手の眉間にはくっきりと皺が寄り、赤い瞳が珠紀の真意を測るかのように鋭く煌めく。
 空白の時間。
 けれど、それはすぐに相手の舌打ちによって掻き消える。
 軋む畳。
 落ちる影。
 相手の姿を追っていた瞳は、相手が真後ろに回った事によって姿を捉えられなくなって、けれど、見失う事などありはしない。
「珠紀」
 囁きと共に腰に回る腕。
「珠紀」
 音と共に項に落ちる唇。
 寒いと口実に利用した背中は寒いどころか熱を持ち、解ってはいたけれど、集中すべき己の手元は…
「美鶴ちゃん、ごめん」
 己の発した声と同時に、白のノートから離れて行った。


 未だおあずけ方法を覚えぬ狗は、姫を慕い、姫を求め。
 それでもかろうじて、赤点は免れたらしいというのは、後のお話し。



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あとがき。

遼はエロ大魔神なわけなんですが、ただのエロ大魔神ではなくて、ワンコなエロ大魔神なのだと思います。なまじっか、目つき悪いし、がたいはいいし、態度は悪いはで誤解されがちですが、寂しがり屋さんです(妄想)冷たくされると拗ねます(妄想)ご主人が他に目を向けると、かまってほしくて色々邪魔をします(妄想)
そんな遼だと思って書いてみました。

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