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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

瓶の中の星の砂。(緋色:真弘×珠紀)

2012-08-17-Fri-22:31




【瓶の中の星の砂。】


緋色の欠片:真弘×珠紀








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 それは、寂しい…という感情にとてもよく似ていて。
 けれど、同時に飢え…という欲求にも近い。そんな気がして。

「先輩、晴れて良かったですねっ!」
 両腕を広げ、風を浴び。
 満点の星のみが広がり、後は、丈の高い草…だとか、己の腰ほどまである岩…だとかがゴロゴロある高台で、少女は星の光さえ眩しいとでも言うように目を細めながら、そう、告げる。

 今日は、自分の…鴉取真弘の誕生日で。
 今日は、少女と迎える、何度目かの、夏で。

 それは、毎年毎年繰り返される…けれど、飽きる…などという単語とは無縁の特別な一日で。

 だから…だろうか。

 サクリ…と足元の草を踏み、一歩、二歩と相変わらず空を見上げたまま己を見ない少女へと近づいていく。

 最初の一年目は、自分の誕生日などすっかりと忘れていて。
 次の年は、少女の方から約束を持ちかけられた。
 さらに次の年にはそれが真実なのだと実感し。
 そして去年は己の決意を少女に告げた。
 そして、今年。
 順を追って段階を踏んでいたわけでは無い。
 ただ、今年。
 恒例ともなった共に過ごす一日に、この場所を選んだのは…決して偶然などではなくて。

 寂しかった。
 いや、違う。
 飢えていた。
 それも違う。
 それは、とてもとても似ているけれど、もっと…

 腕を伸ばす。
 ようやく気配に気づいたのだろう。驚き振り返ろうとする少女の腰に腕を回し。もう片手で瞳を塞ぐ。

 今日は、真弘の誕生日だった。
 皆で祝ってくれたその日の夜に、珠紀を連れ出し、誕生日プレゼントだと、少女の手から時計を貰った。
 嬉しかったし、来年も共に過ごそうと、そう、思った。

 けれど。

「先輩?」
 視界を塞がれたとしても、少女に危機感は無いのだろう。不思議そうな…本当に不思議そうな声で告げるから。
「珠紀」
 腕に力を込めて、むき出しの肩に口づける。
「珠紀」
 足りない。
 ありがとう。と笑って。
 帰るか。
 と、腕を差し出して。
 あぁ、口づけぐらいは許してほしい。

 そんな建前は想像のみで行動に移すことなどできやしない。

 何故なら。
「珠紀、俺は…」

 俺は、お前が…


 一年、二年、三年、四年.

 そして、ようやく五年目の…


「俺は、お前が…」




 欲しい。





 好きだと口にし。
 愛しているのだと囁いて。
 手をつないで。
 口づけて。
 約束をして。


 でも、どうしようもなく足りないのだと。


 欲しくて。欲しくて。欲しくて。



 大事にしたいという思いは今もあるのに。
 それでも…


「先輩」

 笑みのふくんだその声は。






「いいですよ。あげます」




 私の、全部。先輩に。あげます。





 はっぴーばーすでぃ



 その音は、光を取り戻した少女の瞳と同時に告げられた。






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あとがき。

真弘先輩、誕生日おめでとうございますっ!!!というわけで、即席なんですが、SSをばっ。
このお話しは、あまりにも先輩の誕生日をお祝いできていない朱音。がTLで駄文を垂れ流して、それを褒められて、調子に乗って先輩視点で書いてしまった作品だったりします。
シブの方にも同じものを上げてます。
この後どうなったのかは、貴女の心の中で☆という感じで逃げたいと思います。
珍しく、先輩が赤くならないお話しです。先輩、どうしたの?と思いますが、お誕生日でいい年なんで勘弁してやってください。
寸止め隊長も五年もすれば大人になるんです……たぶん。
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