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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

第一回 チキチキ○○大会。(緋色:守護者×珠紀)

2012-09-05-Wed-00:34



第一回 チキチキ○○大会

(緋色の欠片:守護者×珠紀)


※このお話しは、5月にありました、スパコミ緋色プチオンリーのスタンプラリー景品の冊子に記載させていただいた作品であります。








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「これより、第一回。チキチキ合コン大会を始めようと思います」
 それは、突然。そう、突然。
 多家良清乃の一言から始まったのである。

 時は、春に両足を突っ込み、さらに二、三歩ほど歩いた五月の頭。
薄く柔らかな水色の空。そこにふわりふわりと柔らかそうな雲が浮かぶ。
 体感温度は暑いと呼ぶほどではなく、かといって、寒くは無い。屋内に居れば、半袖でもいけるだろう。…が、まだ、五月という季節がら、その場に居る人物に半袖を着用する面々はいなかった。
 そう。
「清乃ちゃん。重要な話しって…」
 春日珠紀を始め。
「うん。重要だよ?」
 多家良清野。
「…あのなぁ。一体どこをどうしたら、これが重要な話しになるんだよ」
 鴉取真弘。
「命に係わる…とも聞いたな」
 狐邑祐一。
「僕は、珠紀さんの一大事と聞きました」
 犬戒慎司。
「大体、何でこんな胡散臭いヤツに…」
 狗谷遼。
 そして…
「私は知っていましたけどね」
 にっこりと笑顔で告げるのは大蛇卓である。
 一斉に大蛇へと視線を向ける一同に、更に大蛇は笑みを深くする。一見すれば無害そうにも見えるその笑みの裏には、様々な思わくが渦巻いている事を知らない者は、この場にはいないだろう。
 もちろん、実体験からである。
「ぁー、あー。コホン」
 皆が皆、恐ろしいものを見るような眼差しで大蛇を見る中、清乃は自分に視線を戻すよう咳払いをしながら片手を上げた。もちろん、話しを進めるためである。
「まぁ、今聞いて貰った通り、これより玉依姫争奪戦…もとい、チキチキ合コン大会を始めたいと思います。まぁ、これは上からの命令ってことで納得して欲しいんだけど」
「…上って…国って事、ですか?」
 恐る恐るとでも言うように口を挟んできた慎司に答えたのは清乃ではなく大蛇だった。
 この中で唯一集められた理由を知らされていた大蛇は、その上に国の意思がある事も清乃から聞いていたのだ。
「えぇ。…まぁ、鬼斬丸の一件も終わり、平和…と名のつく世界になりましたが、上にとってはまだまだ安心が出来るとは言い難いのでしょうね。…早く、玉依姫に落ち着いて欲しい…と」
「なっ!そ、それって、あれか?つまり…」
 思わず…立ち上がる真弘の動きに、ガタガタと机が音を立てる。
「つまり、玉依姫に早く結婚をして欲しい…と、そういう事なのか」
「ええ。その通りですよ。狐邑くん」
 よくできました…とでも言うように、にっこりと微笑む大蛇。だが、笑っていたのは大蛇だけだったのだ。
 あるものは驚き、あるものは、台詞を取られたと凹み。だが、その他の人物はと言えば…
「ふん。…俺の主だ。俺が相手に決まっているだろう」
「何を言っているんですか?今時の男子は料理くらいは作れないといけませんよね」
「ばーっか。料理なんぞ、焼きそばパンが作れれば十分だろうがっ。それよか、男は度量だ。大人の男ってのが一番に決まってんだろ」
「いやぁ、やっぱ身長も重要じゃないかと思うんスよね。あと、腕っぷし」
「…そうなのか?珠紀?」
「え?いや、え?」
 こうして、第一回。チキチキ合コン大会の幕は切って落とされた。

 わけ、なの、だが…

「…で?」
 ポツリと落とされたその声に、清乃は大げさなほどに肩を揺らした。いや、大げさなどではない。それほどに恐怖を感じたのだ。隣に座る、玉依姫と呼ばれる親友に。

 事の起こりはこうである。
 清乃が、上司である芦屋に玉依姫に相方をつけさせろと命じられたのは一週間ほど前の事だった。これは玉依姫に相方をつける事により、後継問題を早めに解決してしまおうという国の意思が働いている。もちろん、親友として、最初は断った。
女の子の一大事を国だのなんだのに介入して欲しくなかったためだ。だが、芦屋の言葉によって清乃の意見は変わることになる。
『まぁ、今まであの子は戦いだのなんだので、ちゃんと高校生らしい事をした事はなかったんだろ?高校生くらいと言えば、愛だの恋だのに意識を取られる年代じゃないか。それなのに命がけで……僕はね、多家良。きっかけはどうであれ、彼女にはちゃんとした、女の子らしい幸せを掴んで欲しいとも思うんだ。とはいっても、あの村だろ?そうなると限られてくる。今はいいけれど、国もそのうち力技に出るかもしれない』
 乗せられている…という自覚が無かったわけではない。それでも、それを抜きにしても、清乃は珠紀に彼氏が出来るのは良い事だと思ったのだ。
 現に、守護者と呼ばれる彼らは、どこをどう見ても珠紀に惚れていた。それこそ、気づかれていないのが不思議なほどにベタ惚れだ。
 だが、当の本人の珠紀はどうだろう。
 皆、仲間!という健全すぎる思考で彼らを男として見ていなかった。むしろ、家族として見ている方が大きいとすら思う。ポジション的には、大蛇、祐一、真弘は兄…は少し際どいが。拓磨は双子の兄。遼と慎司は弟…と言ったところだろうか。一部、年齢に不釣り合いなポジションもあるかもしれないが、それは日ごろの行いが悪かったと思って諦めていただこう。
 いや、問題はそこではない。珠紀の心の問題なのだ。
 だから、これを機に、彼らを男として意識し、恋をし、恋人となれば今よりももっと世界は薔薇色になるであろうし、面白…ではなく、いざという時、心の拠り所が出来るのではないかと、そう、思って…思…
「いやぁ、それにしても、素晴らしいほどの乱闘ですねぇ」
 重ね重ね言おう。あくまでも善意。善意だったのだ。
 まさか、まさかこんな…
 いたるところで物が壊れる音。
 バキ…と聞くだけで痛そうな音。
 目に入って入るのだけれど、早すぎて音だけしか認識できない。
 始まりは、珠紀の目の前で宙を飛んだ湯呑からだったように清乃は記憶している。誰が飛ばしたのか。清乃の目に映る事はなかったのだが、流石は守護者。即座にそれが誰によるものなのか理解できたらしい。
「っ!この、灰色頭っ!」
「ハッ、てめぇがノロノロしているのがいけねぇんだろうが。赤頭っ!」
 いつもの言葉の応酬。しかし、それだけではすまなかった。
「硬化!転換!」
「っ!熱ぃっ!てめっ、慎司ぃぃぃっ!」
「すみません。僕にも、負けられない戦いがあるんです」
「わかった。俺も相手になろう」
 そこからがすさまじかった。湯のみが宙を飛ぶのは当たり前。湯のみどころか、中の湯。机は縦になり、何故か枕が天井すれすれに行きかっては、障子が青い焔に包まれる。
 吹き荒れる突風は座る清乃と珠紀の髪を右に左に、はては真上に舞わせ…
 カタリ。
 それはほんの些細な音だったように清乃は思う。
 いや、この騒音の最中であれば、どんな音でも些細なものになってしまうのかもしれないが、それでも、その音に気づけたのは清乃と、もう一人だけであった。
 そう。乱闘に唯一参加しなかった守護者のまとめ役。
 清乃が相談した時も、笑みが崩れる事なくこの作戦を提案してくれた協力者。
 最初こそ、彼も自分と同じに…と思っていたのだが。
「珠紀さん?どうされましたか?」
 立ち上がり、表情の無いまま前を見つめた珠紀に大蛇が声をかける。
 それは最初と何一つ変わらぬ声音で、それが尚更、清乃の背に悪寒を走らせた。
 優しい人だと、思っていた。
 穏やかな人だと、そう、思っていたのだが…
「お、大蛇さん?」
 問いかけた清乃の声に、大蛇は視線のみを向けてきた。キラリとメガネが光ったのは清乃の気のせいではないだろう。ましてや…
「卓さん。お願いできますか?」
「えぇ。もちろん」
 如何にも仕方がない…と言った表情で大蛇が立ち上がれば、片手をつぃと乱闘の中心。守護者達が戦うその場へと向ける。
 しかし、清乃は見ていた。その口元に浮かんだ笑みがそのままだという事を。
 その眼差しが…
「さようなら、皆さん。……五重円。現出」
 音は、静かに。静かに響く。
「ちょ、さようならって」
 もちろん、清乃の突っ込みに反応はない。
 光りだした床。
 はっとしたように周囲を見回す守護者一同。
 そして…
「っ!大蛇さん。まさかっ!」
「きったねぇっ!!」
「貴様っ!」
「なっ!自分だけっ」
「………俺も…か」
 即座に音は聞こえなくなる。
 残るのは。
「もう、皆して暴れすぎ!掃除をするの誰だと思っているんですかっ!大体、彼女がいないからって手近で済ませようとか、失礼ですよ!そこで反省しなさいっ」
 びしぃと閉じ込められた五名に指を向ける少女の姿と。
「珠紀さん。皆さんは若さゆえの過ちなのですよ。仕方がないと思って、今回はこれで許してさしあげましょう」
 さりげなく珠紀の肩に手を置き、仕方がないと微笑む大蛇の姿。
 きっと大蛇は解っていたに違いない。この計画を立てた時から。彼らを集めこのような事をやればどのような事態になるのかを。
 はては、珠紀が何を思い、どう、行動するのかも。
 全て、解っていながら…
「多家良さん」
「ひっ」
 向けられる眼差しに無言の圧力を感じる。
 するりと伸びた指先に、清乃の体は動かず。けれど、その指は結界を現出するわけでも無く、大蛇自信の唇に当たり。
 まさしくそれは、秘密ですよ。そのポーズ。
「卓さん?」
「いいえ、何でも。さぁ、行きましょうか。美味しいお茶でも入れてあげましょう」
 何事もなかったかのように取り残された清乃の耳に、大蛇の『多家良さんもどうです?』の声が聞こえたが、清乃は首を横に振ることで答えを送った。
 飲める。はずがない。
 そう、ここからは、まさしく大蛇のターン。
 第一回 チキチキ合コン大会の勝敗が決定した、その瞬間であった。



「……で?多家良はそのまま帰ってきたのかい?」
「もちろんですよっ!あんな、あんなおっかないの無理ですっ!」
「でも、それじゃぁ、命令を遂行したとは言えないなぁ。それに、あのお姫様が、それで大蛇君になびくとも思えないしね」
「っ!そんなっ!」
「大丈夫。僕に考えがあるんだ。…次は僕も行こう。チキチキ合コン大会。第二回。そうだなぁ…今度は、IN学園とかどうだろう?」

 にやりと笑う芦屋と恐れおののく清乃。そんな二人の計画が発動するのは、また、後のお話しである。




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あとがき。

このお話しは、最初にも書きました通り、緋色プチオンリー景品の冊子に寄稿しました作品だったりします。
最初は、同じテーマで違うお話しを書き始めた結果、とてつもなく長くなりそうなので断念。
そして、出来上がったのがこの作品です。
第二回があるのかは不明です。

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