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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

だるまさんがころんだ。

2007-02-25-Sun-03:56

 その日は珍しく一人だった。
 拓磨は清乃に掃除当番だと引きずられ、真弘は真弘で居残りだと教師とマンツーマン。
 祐一と慎司は封印の見周りで…
 それでも二人は送ると言ってくれたのだが、おーちゃんがいるからと、強引に説得して家路へとついた。







 この村へと帰ってきてから既に半年。
 赤く染まっていた景色は、白から緑へ。
肌を刺すような外気は包むような暖かさへと変化していた。
 ゆっくりと…まるで、草木が芽吹くようにゆっくりと変わっていった世界。
 あの時流したたくさんの悲しみが、今、まさに報われようとしているのを肌で感じ、珠紀は小さく笑みを浮かべる。
 諦めないでよかった。
 投げ出さないでよかった。
 向けられる笑みを裏切らないでよかった。
 伸ばされた手のひらと、反らされた眼差し。
 全てを救えるなんて…そんな事を思っていたわけじゃないけれど、それでも、目の前の存在だけは失いたくなかったから…
 流れる風に髪を攫われ、ゆっくりと手のひらで押さえつける。
 ふいに…
 止めた動き。
 瞬きを一度。
 変わらない景色。
 変わらない風景。
 けれど…
 下に落ちた髪の先を辿るように、僅か視線を右側へ。

 見えたのは…
 金色の……

「珠紀!」
 走り寄ってくるその姿に、思わず瞳に笑みが浮かぶ。
 遠目にも小さかった影は、近づくにつれ、やはり小さく…
「アリア」
 膝を折り、そっと両手を伸ばし、抱きつく少女…いや、少女に見える少年の頭をそっと撫でる。
 ゆるくウエーブがかった髪は、走ってきたせいなのだろう。
 少し乱れ、頬にかかる。
 それを指先で直せば、まるでブラッシングされている猫のように、少年の眼差しはゆっくりと閉じられて…

 アリア…
 かつては、鬼斬丸を取り合って戦った存在。
 圧倒的な力を持つ少女。
 そう…少女…だと、思っていたのだ。最初は…
 けれど、実際は…
 アリアという力を持つ存在を六賢人の目からそらすため、アリアの両親の機転により聖女として育てられた存在。
 男性であるならば、その存在は六賢人の地位を脅かす。だが、女性ならば…
 彼の両親にしてみれば、女装は最後の手だったのだろう。
 なぜなら、アリアを閉じ込め、隠しておけるのならば…女装などさせる必要はないのだから。
 彼の両親なりの精一杯の愛情。
 それを伝える事なく、彼の両親はこの世を去り、そして少年は両親を求めた。
 間違った知識を植えつけられたまま…
「珠紀?」
 問われた声に、珠紀は思考に陥りかけていた意識を目の前の存在へと戻した。
 最終的に誤解は解け、アリアは典薬寮の監視はあるものの、珠紀の家で一緒に暮らしている。
 アリアが少年だと知っている守護者から…特に、真弘からの反対はすごかったものの、強引に説得できたのは…多分…
「……また、違う事を考えているな」
 いつの間にか、開かれた眼差し。
 どこか寂しげな色を見せる瞳。
 相手の髪を梳いていた指を取られ、合わさった手のひら。
 普段並ばぬ眼差しが、膝を折っていた事によって、少女としっかりと合わさって…
「私と共に居る時は、私の事を考えて欲しいと言ったはずだ」
 その瞳の色を隠すように、口調が強くなってしまうのは、アリアと共に居て気づいた彼の癖。
 無理して大人ぶって、背伸びをして…
 珠紀の隣に、なんとしてでも並ぼうと…
「アリアの事、考えているよ?」
 これは本当。
「嘘だ」
「嘘じゃないよ?」
「嘘だ」
「アリア?」
 繋がれた手のひらに力が入る。
 少年の眉間にくっきり刻まれる皺。

 本当なのに…

 小さく呟く声は、おそらく少年には届かない。
 考えていたのは少年の事。
 
 本当なのだと訴えるように、アリアの瞳をじっと見つめ…


 ふわり…と


 唇に何かが触れた。


「私を見ろ」
 空の青よりも尚、青い蒼。
「今の…私を、見ろ」
 繋がる手が熱い。
「私は…オマエが好きだ。珠紀」
 
 白くなる思考。
 気づかなかったなんて…そんなのは嘘。
 向けられる眼差しに…
 過去の少年を見る事で、必死に逃げてきたのだ。

 今日…までは…

「私が欲しいのは、母親でも、姉でも、肉親でもない。ましてや、フィーアの位置など…求めてない」
 紡がれる一言一言が胸を打つ。
 視線が揺らぐのは…それが、自分の逃げ道だったから。
「…ァ…リア」
 逃げるな…と、少年は告げる。
 強い眼差しで、少女の容姿で。
 逃げたい、反らしたい。
 心が訴えかける。
 けれど、逃げられない…反らせない。

 離れる指先。
 閉じられた瞼と共に、肩に入っていた力が抜ける。
 遠ざかる少年の眼差しは、青空からぽつり、浮き上がり…

「答えを出せ。珠紀」

 弧を描く、口元。
 命令する者、特有の力のある声。

 離れたはずの手のひらは、今もまだ尚熱く…
 同時に頬に上る熱。

 目の前で去っていく背中にかかった金色に、ようやく瞼を閉じる事が出来て…


「ど…しよう」
 震える唇に指を当てる。
 一瞬…
 背を走った甘い痺れ。
 その意味が何なのか…

 認めるには、早すぎて…




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あとがき。

リハビリ第二段。アリ珠です。これを書くにあたって、コンテンツにアリ珠を追加しましたー。
アリ珠は、ひたすら珠紀を求めるアリアと、押しの弱い珠紀が押し切られるのが理想だったりします。アリアの恋心は、独占欲と紙一重であればいいなぁと…
きっと、この先自分自身これが独占欲なのか、恋なのか悩んで、けれど、珠紀を放す事だけはどうしても出来なくて…みたいな。
…すみません。眠いので、あとがきがぐだぐだだ…(涙)
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COMMENT



あやちゃんへ。

2007-02-27-Tue-02:57
今晩は。おはようございますっ!
企画参加有難うございますー。
私的に、細かな設定がある方が妄想…いや、想像しやすいので、とてもとても助かりますー。
おかげで、あのシーンが頭の中でアニメ化(マテ)
頑張って書かせていただくので、よろしくお願いします。
そしてそして、将来珠紀がどちらを選ぶのか…は、私も解らなかったり(笑)でも、どうだろう。やっぱり真弘センパイではないでしょうか。珠紀は、一本、芯の強い子なので、悩んで、悩んで。けれど、やはりセンパイと過ごした日々は、他の何よりも変えがたいものなんじゃないかと思います。
ちなみに、アリアVS祐一先輩は…きっと、暖かく見守る祐一先輩に、アリアが微妙に居心地悪く、本領を発揮できないんじゃないかと思います。
むしろ、「珠紀が他の男に迫られているのに、祐一は何をやっている!」とか怒りそう(笑)

LaLa本誌は買っていないんですよー。…て、そんなおまけがっ!!
うぅ、雑誌は…雑誌は買うと、ゴミの日にゴミ袋で出せないからっ(涙ダッシュ)

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2007-02-25-Sun-23:19
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だるまさんがころんだについて

だるまさんがころんだだるまさんがころんだは、こどもの文化|こどもの遊びの一種。概説鬼ごっこの変種のひとつである。鬼が「だるまさんがころんだ」という呪文を唱えることから、この名前がついた。鬼を一人立て、その鬼が他の参加者をすべて捕虜にすることを目的とする。
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