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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

灰かぶり。

2007-04-27-Fri-03:48

 息を潜めて、耳を澄まして、少しの異変も逃すまいと瞳を閉じる。
 トクリトクリと刻む鼓動は、いつもと同じで少し早くて…
 だけど、決していつもと変わらず、ゆっくり落ちていく意識と共に、今日一日は終わりを告げる。

 そう…そのはずだったのに………



 それに気がついたのは、二度目の音が聞こえた瞬間。
 硬いモノに、やはり、硬い何かがぶつかるような音。
 いつもとは違う、僅かな雑音。
 それは、珠紀の意識を浮上させるには十分で…
「…?」
 眠い目を擦り、片手を布団につけると体を起こす。
 仕舞っているカーテンからは、細い糸のような月光が僅かに零れ、それでも、足元を照らすほどの光ではなく…
 ただでさえ、寝起きである。
 よたつく足で、布団を蹴飛ばし、転がる枕に躓きながら、そっとカーテンに手をかける。
 止んでしまった音は窓の外から。
「誰?」
 零れた声。
 開けたカーテンの先に人影は見えず、そっと窓に触れると力をかける。
 吹き込む風に欠伸を零し、顔だけを覗かせて右、左。
「…ん~?」
 更に、もう一度目を擦ってから、瞬きを二回。
「無用心ですよ?」
 息を…する事を忘れた。
 思いの他、近い場所から聞こえたその声は…
「し…んじ、君?」
 問いと共に、視線のみを横に。
 まるで、並んで立っているかのように、すぐ隣にあったその姿は…
「起きてたの?」
 夕食を食べて、別れた時の姿、そのままで…
「見回りです」
 いつもと変わらぬその声に、ようやく息を吐き出し、横を向く。
「窓、叩いた?」
「叩きました」
「…どうして?」
 弧を描く唇。
 どうしよう。
 早くなる鼓動。
 胸を抑え、そっと俯く。
 いつもと違うような気がして。
 何故だか…ここに居てはいけない気がして…
「も、寝るね?」
「答え…聞かないんですか?」
 離れかけた足が、ふいに止まる。
 まるで、縫いとめられたかのように動かない。
「いつも、呼んでいたんです」
「…いつも?」
「そう。いつも」
 カサリと音がして、ゆっくりと伸ばされる指先。
 顔を横に向けなくても見える位置に彼は来て、そっと額にぶつかる額。
「気づかれたら…もう、遠慮はしないようにしようと、そう、決めていたんです」
「遠慮?」
 唇に触れる吐息。
 あわせる事はしない。
 ゆらめく瞳に、心が震える。
 年下で、優しくて、頼りなくて、頼りがいがあって…
「貴女に、僕は、どんな風に見えていますか?」
「慎司君は…慎司君だよ?」
「貴女にとって、僕は……」
 ふいに離れた体温。
 一歩二歩と下がった足は、布団に躓き、へたり込んだ。
「僕は、貴女を誰にも渡しません。渡すつもりもありません」
 窓の向こうには、月光に照らされた少年の姿。
 穏やかな眼差しも笑顔もそのままなのに…
 何故だろう…こんなにも…
「貴女にとって、僕が、頼りない後輩に見えたとしても…」
 指が震える。
 瞳が離せない。
 好きでダイスキで、穏やかな時がとても大切で…
「……っ、見えないよ」
 カタリと閉まる窓。
 広がったカーテンの隙間はそのままに、去っていく後姿。
 体を倒し、布団を引き寄せる。
 赤くなる頬に……
「どうしよ。眠れない………」
 ぎゅうと閉じた瞼に写る、彼の姿。

 見ないでいたのに…
 声に出さずにそっと呟く。
 優しい時が好きだった。
 変わらぬ時が好きだった。

 けれど…

「もう…戻れない」

 流れ出す時は留めておけず、回りだした歯車は音を立てて回りだす。
 それぞれの想いを胸に、今はただ、夜が更け…




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あとがき。

慎司君の話は、もっとバリエーションを増やさないとなぁと思います。
ピュア慎司君を書きたいと思いながら、どうしても書けないのは…
きっと、書いている人の心が汚れているから…orz
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COMMENT



由香さまへ。

2007-09-11-Tue-22:18
コメントありがとうございますーっ!
由香様の好みは黒慎司君…と(メモメモ)
きっと…えぇ、きっともっと増えると思いますっ。タブン(マテ)
でもでも頑張りますので、また、遊びに来てやってくださいませー^^
コメントありがとうございました。

管理人のみ閲覧できます

2007-09-11-Tue-20:46
このコメントは管理人のみ閲覧できます

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