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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

バレンタイン カウントダウン。(守護者×珠紀)

2007-05-11-Fri-01:46
※注意※


このお話しは【緋色FD発売記念カウントダウン】に拍手に掲載した作品でございます。
SS…というよりも、SSSみたいな感じで、かなり短い上に、守護者も珠紀も単品形式になっておりますので、ご了承してくださいませ。

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2月13日 -珠紀-



 色とりどりのラッピングに、漂う甘い香り。
 手元には、茶色い板チョコに、ボウルに木ベラ、温度計。
 並ぶ材料と器具は全てこの日のために。
「……失敗しませんように」
 両手を二度叩き、神頼み。
 心配そうな眼差しを、台所の入り口から感じるが、振り向いている余裕は無い。
「ごめんね?」
 小さな声で呟いて、そっと材料を手に乗せる。
 手伝って貰っては意味がない。
 勿論、市販も意味がない。
 全ては…そう、全ては、明日のための材料だから。
 時計を見ると、午後10時。
 決戦までは数時間。



※※※



2月13日 -美鶴-



「珠紀様…」
 台所の入り口で、壁に手をつき覗き込む。
 美鶴が見つめる先はただ一人。
 世俗のイベントにあわせてなのか、甘い香りただよう台所で、手馴れた…だが、巧みとは言えない手つきで、何かを作成中の少女の姿。
 手伝いたいのだと…
 一言言えばすむ話しなのだが…
 言えない。
 言いたくない。
 少女が作っているのが何かを知っているから…その手伝いなんて、本当は死んでもやりたくない。
 けれど…
 一緒に台所に立ちたいのは本当。
 笑いあいながら…出来うるならば、少女の手で作られた代物を、自分も欲しいのだと言えたなら…
「珠紀様…」
 ため息交じりに言葉を紡ぐ。
 我慢できずに、台所に足を踏み込むまで後数分。



※※※



2月13日 -アリア(♂)-



 漂う香り。
 どこから香ってくるかなんて知っている。
 アリアは月明かりのみが差し込む室内で、襖の向こうへ視線を向けた。
 机の上には、四角い箱。
 明日のためのプレゼント。
「こちらでは違うのだな」
 細めた眼差しの先には、きっと、漂う香りと同じ香りをした少女の姿が見えているのだろう。
 愛しげに、箱を撫で、ゆっくりと視線を手元に戻す。
 年に似合わぬ大人びた表情。
 けれど、眼差しは少年のもの。
「今更かもしれないが」
 囁く声は、床に落ち、笑み浮かべる口元は弧を描く。
「………」
 開いた唇から零れる声は、愛の調べか少女の名か。



※※※



2月13日 -大蛇-



 見上げた月がポカリと浮かぶ。
 年甲斐も無く…と、笑われるのかもしれないが、それでも浮き足立つのは、待ち望んでいた存在が居るためか。
「そんな年でもないんですがねぇ」
 着物の袖を袖に入れ、長い黒髪は風に揺れる。
 瞳を閉じて思い浮かぶのは、憧れ、待ち望んで…けれど、想像した以上大切な存在となった少女の笑顔。
 役目のみの日々。
 変わることは無いと思っていた、相手と自分の立ち居地。
 けれど、ひたむきな…
 あまりにもひたむきな、その想いに、いつしか動いた心は、今まで決して持つ事の無かった感情で。
 足元へ視線を移してため息一つ。
 待ち望んでいる自分が居る事に、浮かぶ笑み。
「彼らの事を言えませんねぇ」
 零れる声は、苦笑交じり。
 けれど、どこか嬉しそうで……



※※※



2月13日 -祐一-



 目を開くと、未だ夜だった。
 壁に背を持たれ、いつものように数秒で寝てしまったのだろう。
 ひんやりとした空気は心地よく、再び閉じかけた瞼。
 揺れる睫毛。
 口元に浮かぶ笑み。
 そう、心地よい。
 何故…
「あぁ…」
 似ている。
 柔らかな月明かりは少女の笑み。
 ひんやりとした心地よい空気は、少女の声。
『そんな格好だと、風邪、ひいちゃいますよ?」
 耳に蘇る少女の声に、再び瞼を開くと手を伸ばす。
 心地よいけれど、このままでも構わないけれど…
 体を覆う毛布の温もりは、少女の優しさ。
 明日…
 ふいに思いついた些細な計画。
 それを口に出す事は無く、意識は闇へ。
 笑みと共に眠りに落ちる。



※※※



2月13日 -遼-



 床に転がるピンクのラッピング。
 ベッドに横になりながら、遼は横目でそれを見た。
 いつものごとく学校から帰り、ポストに入れてあったソレは差出人不明のプレゼント。
 中身は見なくても解る。
 一日早いバレンタインのチョコレート。
 開ける気は勿論無い。
 差出人不明のため…というのも勿論あるが、それ以上に…
 不機嫌そうに、眉間に皺を寄せるとそのまま瞼を閉じる。
 欲しいのは、ただ一人。
 他の誰のものも欲しくはない。
 らしくなく、僅かに揺れる心を、更に心の奥底へと押し込んで…
 閉じた瞼に広がる暗闇。
 幾度か寝返りを打ちながら、眠りにつくのは…



※※※



2月13日 -拓磨-



 冷蔵庫を開けて、ミネラルウォーターを口に運ぶ。
 嫌に寝苦しい夜。
 毎年毎年訪れる、苦痛としか思えないこの日。
 いっその事、日が昇らなければいいと、何度思ったか知れない。
 実際、休んだ事だって何度もある。
 きっと、明日、学校へ行けば下駄箱の中も机の中も甘い匂いでいっぱいで…
 想像しただけで、零れるため息。
 けれど…
 ミネラルウォーターのキャップをはめて、向かう場所は家の外。
 楽しみにしている…と、言ったら、きっと、彼女は笑うだろうか。
 だから、決して楽しみにしているだなんて、気づかれないように…
 落とした視線は、己の手のひら。
 僅かに揺れる心の内は、不安と期待が入り混じり……



※※※



2月13日 -慎司-



 枕元に置くのは小さな小さな白い箱。
 甘い香り漂うそれは、明日のためのプレゼント。
 男のくせにと笑われるのを覚悟して、料理が得意だと言った時も、少女は笑うどころか教えて欲しいと言ってくれたから…
 きっと、明日、コレを渡しても喜んでくれる。
 明日が何の日かなんて、もちろん知っているからこそ、明日でなければ意味が無い…
「チャンスは、有効に…」
 小さく零れる声は、かつて教えて貰った格言の一つ。
 皆と同じでは意味が無い。
 そのための、布石を一つ。
 誰にも渡さないと…言ってしまうのは簡単だから。
 零れる笑みは、明日を思って。
 清く正しくモットーに、今日の夜は更けていく。



※※※



2月13日 -真弘-



「だぁー…クソ」
 落ち着かない。
 本当に落ち着かない。
 何度、カレンダーを見ても、何度時計を見ても、落ち着かない。
 楽しみ…というのとも、何か違う。
 苛立ち…というのとも、何か違う。
 心ここに在らずなのは、全て、明日のイベントのせい。
 少女の事だから、くれる事はくれるだろう。
 けれど…
 他と同じでは嫌なのだ。
 自分だけでなくては嫌なのだ。
 きっと、少女は解かっていないけれど…
 それでも、浮かぶ、淡い期待。
 ゆっくりと首を横に振っても、入り混じる期待と不安は取れることなく、朝まで続く。
 それこそ…
 空が白み、雀が鳴きだす、その瞬間まで…



※※※



2月14日 -珠紀-



 出来上がったチョコレート。
 リボンの色はピンク色。
 受け取ってくれるだろうか。
 食べてくれるだろうか。
「あ……」
 零れた声に、気づかれた。
 伸ばされた手のひら。
 そっと乗せる。
「………」
 頬に集まる熱。
 いつもと変わらない。
 いつもと変わらない。
 そのはずなのに……

 ただよう香りは甘く切なく
 年に一度のイベントは、愛しい人に愛の言葉を。


 緋色FD発売おめでとう!!!!

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あとがき。

個人個人がVDの前に何を思っているのか…というのと一緒に、カウントダウンもしてしまおう…という思いつきのまま作成したSSSだったりします。
でも、短いためか、とても書きやすかったような。
皆、珠紀のチョコが欲しいんですね。
対のWDはそのうち…そのうち…

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