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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

見える真実と見えない現実。

2007-05-18-Fri-01:55



 見える真実と、見えない現実。





 思わず伸ばした手で肩を掴み、振り返るその眼差しに唇をかみ締める。
「どうしたんですか?」
 問われる声に、声を発する事が出来ず、珠紀はゆっくり瞬いた。
 学校からの帰り道。
 別に皆と帰るのが決まりだったわけではないが、彼と…慎司と帰るのは初めてだった。
 いつものように校門で待ち、いつものように遅れてくる彼を待つ。
 穏やかな笑みは、年下だと解っていながらも、どこか自分を包み込むような優しさを感じていて…
 傾く日差しと、伸びていく影。
 暖かいとは言いがたい外気。
 僅かに開いた距離は、心の距離。
「珠紀先輩?」
 問われた声に、そっと肩に触れていた手を離す。
 自覚なんて…無かった。
 特に、何を言われたわけでもない。
 けれど……
 ゆっくりと首を横に振る。
「先輩?」
 俯いた瞳に映るのは、黒い影。
 言い知れぬ…不安。
「先輩」
 声と共に落ちる…温もり。
 指先のみに感じるそれに、視線を向ければ重なる細い…指。
「寒いんですか?」
 問われる声に、自分が震えていた事に気づく。
 寒くは無い。けれど…
「大丈夫ですよ」
 細まる眼差し。
 広がる笑み。
「僕が、先輩を守りますから」
 確かなる決意。
 そして…


 ゆっくりと広げた両手。
 落ちる影は一人分。
 赤い夕日は山に消え、耳に届く虫の声。
 項を撫でる外気に首をすくめ、温もりのない指先を握りこむ。

 本当は…あの時に気づいていたのかもしれない。
 
 その眼差しに憂いは無かったか。
 柔らかな笑みを浮かべる口元が、ひきつってはいなかったか。

 零れる吐息と共に、空を見上げ…



 世界が…夕闇に、沈む。


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あとがき。

慎司君ネタ…その2です。これは、まだ慎司君が裏切る前をイメージして書かせていただきました。
緋色のキャラは全体的に夕日が似合う気がします。

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