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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

第一章

2006-07-14-Fri-00:05
 真白い空間の中、少女は歩いていた。
 足元には地面は無く、頭上には空は無く、両側には壁がない。
 どこまでも、落ちていくような、浮上していくような、そんなあやふやな真白な世界で、少女は歩いていた。
 不思議と、恐れや戸惑いは浮いて来ない。
「呼ばれて…居るから」

 そう。自分は呼ばれているのだ。
 声ではない声。
 だが、とても悲痛な…心が軋むような…そんな声に呼ばれているから。

「行かなくちゃ…」

 行かなくてはいけない。
 もう少し…
 あと、もう少し近づけば、たどりつけるのだ。
 ずっと、ずっと歩いてきた。
 もうすぐ…

「そちらに行ってはいけません」

 ふいに聞こえる、己以外の声。
 少女…珠紀は驚いたように声のした方へと顔を向けた。
 白い空間に、ぽつりと浮かぶソレは…やはり、白い存在だった。
 とてもよく慣れ親しんだ感覚。
 そう、覚えがある。

「桜月?」

 少女の口から名が零れたと同時に形取るソレは、額に青い文様を抱く、白い狐の姿。

「そちらに行ってはいけません」

 二度目ははっきりと、少女の瞳を見ながら、その口から言葉が零れる。
 高いような、低いような、少女のような少年のような不思議な声音は、少女の足を止めさせるのには十分で。

「けど、呼ばれているの」

 今も…と、桜月から反れる視線。見つめる先は、進む、ずっと先。

「進んでしまえば、戻れなくなる。貴女と共に居るべき存在は、アレではないはず……」
 その言葉に思い出されるのは、共に過ごし、共に戦った、唯一の存在。
「…先輩…」
 何かが壊れる。
 瞬間、クリアになる視界。
 耳に届くざわめき。
『決して、進んではなりません』
 その言葉を最後に、世界は色を持ち始め………



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