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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

青い春。

2006-07-14-Fri-03:03
 両親は説得した。
 学校の手続きも終わった。
 住むところは今までと変わらず、変わった事と言えば、先輩との関係と、鬼斬丸が封印された事ぐらい…
 そう、順風満帆に見えたのだ。
 その時までは…………

「先輩……」
「なんだ?」
「先輩………」
「だから、なんだってんだよ?」
「なんで、そんな遠くに座っているんですか?」
「…………」
 こんな会話を何度繰り返したか知れない。
 時刻は丁度昼食時。
 季節は秋。
 折りしも、いつもの屋上友の会のメンバーは、自分と先輩を除いてここには居なかった。
 これはまったく珍しい事で、こういう時こそ一緒に居たいわけで…
 だが、何故か先に座った自分から真弘は2Mほど離れて座っている。
「…………や、だって…だな。こっちの方が風が気持ちが良くて…」
 しかも、言い訳がかなり白々しい。
「じゃぁ、そっちに行きます」
「待て、来るな!」
 これも何度…以下略。
 先輩がおかしい事に気がついたのは、帰って来てからすぐだった。
 お互いの気持ちも確かめあい、さあ、これから二人でがっつり生きていこうと…そう、心に決めたはずなのに…
 先輩が………遠い。
「もう、いいです」
 吊り橋効果というものを聞いた事がある。
 二人の男女がグラグラ揺れる吊り橋の上に居ると、胸の鼓動を取り違えてしまい、恋愛感情へと勘違いしてしまうという。
 広げた弁当箱は美鶴作なだけあり、とても綺麗で、とても美味しい。だが…………
「ごちそうさま」
 半分も減らないうちに弁当箱を閉じる。
「おまえ、どっか悪いのか?」
 誰のせいだと、言い返しかけて…口を閉じた。
 胸がムカムカする。
 よほど、酷い顔をしていたのだろうか…
 食べかけのヤキソバパンを置き、真弘が近づき…額に当たる手のひら。
「熱は…無いみたいだな…」
 やさしい声。
 そして、再び熱は離れ…
「離れないでください!」
 咄嗟に相手の手首を掴み、驚く真弘を正面から見つめる。
「おま、仮病!?」
「違います!」
 そんな事が出来るはずがない。胸のムカツキも、苦しさも、ここにあると言うのに…
「先輩は、私の側に居るのが嫌ですか?」
 よそよそしい態度、離れる距離…
 もしかしたら…と思っていた。
 あんなに強い絆で、思いを確かめあって…それでも、もしかしたらと…そう思った。
「そんな事………」
「じゃぁ、なんでこんなに…お弁当食べる時も、一緒に帰る時も、二人で出かける時も、いつもよそよそしくって…」
 その瞳にあるのは動揺。
 気づかれるとは思っていなかったのだろうか…あれほど、あらかさまに、自分を避けておきながら…
「もう、何とも思ってないなら、思ってないんでいいんです。ただ………こんな風に、距離を取ろうとするのは…止めてください」
 最後は懇願。
 眼差しは足元へと落ち、手首を掴んでいた指からは力が抜け…
「………っ…じゃ……ぇぞ」
 押し殺したような声。
 ふいに引き寄せられる身体。
 真正面に見える真弘の顔に、どうして…だの、なんで…だのという言葉は浮かばず、塞がれる唇に一瞬、頭が真っ白になる。
 固定される頭は逃さぬように、己の後頭部へと添えられ、口付けをしているにもかかわらず、己を射止める強い眼差し。
「………っ」
 喉奥で篭る声すら食らうように、深く重ねた唇は、実際には10秒程度の出来事だったのだろう。離れていく相手の顔から視線を逸らせず…
「ふざけんじゃ…ねぇ…」
 掠れた声が耳を打つ。
「何とも思っていないわけが…あるか。嫌なわけあるかよ。……ぁー、クソ!」
 肩に置かれる手のひら。己の前に座った真弘にそのまま抱き寄せられ、その肩へと額をつける。
 耳に届く鼓動は、己のものか、相手のものかも解らぬまま、その心地よい感覚に瞳を閉じ…
「…その、距離を置こう…と、していたのは悪かった。………別に、おまえを嫌ったわけじゃない。…これは、俺の問題であって、だな」
 言い憎そうな声に、思わず顔を上げると、見るな…と言われ、再び肩に押し付けられた。
「………やばいんだよ。オマエと居ると。…触りたいし、抑えが利かない。……だから…」
「嫌です」
 もう少しだけ時間が欲しいと…その口が告げる前に、自然と言葉が出ていた。
 抑えられていた頭を強引に上げ、真っ赤になっている真弘の顔をしっかりと見つめ…
「我慢しないでください」
 きっぱりと言い切った。
「なんで我慢しなくちゃならないんですか?私だって、先輩に触りたい、キスしたい。いつも思ってます。抑えなきゃいいじゃないですか、大丈夫です。嫌な事されたら、ひっぱたきますから」
 
 空は青い。
 多少冷たいが、風はかなり心地良い。
 屋上には二人の人影。
 顔を輝かせている少女の言葉に少年の盛大なため息が聞こえたとか聞こえなかったとか………

後日…(真弘)

 我慢をするなと少女は言った。
 自分も同じ気持ちなのだと少女は言った。

 だが…果たしてそれは真実なのだろうか…
 鴉取真弘は疑問を感じ得ずにはいられない。
 どれほどに自分が彼女を大切に思っているのか。
 どれほどに自分が彼女を求めているのか…
 解っているのならば…

「これはねぇだろうよ。ぉい」

 うめき声と共に声を漏らした。
 言うだけ言った少女は、安心したとばかりに己の肩に額を乗せて、気持ち良さそうな寝息を立てており、時折、夢でも見ているのだろうか、ため息のような声が混じる。
 いかんせん、場所が耳元なだけに、それは…正直、クル。
 食っちまうぞ…と言ってみた所で、手を出せるわけがなく…

 まるで、この先を暗示するかのような現状に情けなくも眉を下げ、うら若き青少年は、彼女が起きる、その時まで身動き一つせずに枕に甘んじていたらしい。


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 後記

はい。とうとうやってしまいました。
その名前の通りに青い春です。
…というか、もう、文体がゲームの影響受けまくりで、もはや自分の文章ではないかのようです。
どうしよう…
そもそも一人称なのか、三人称なのかも微妙な所。
まぁ、後々精進して行きますので、また読んで頂ければ幸いです。
さてさて、今回の「青い春。」ですが、そのまんま青春です。
だって、真弘先輩だって、男の子ですもん!しかも、何気に奥手そうですもん!や、ゲームじゃ2回もしちゃってますけども。
連載だと、シリアスで行きますが、ほのぼのも好きなので、どんどん増やしていければなぁと思います。
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