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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

鎮魂歌。(ゲントウカ×玉依姫←クウソノミコト)

2008-03-04-Tue-17:02



 求めたのは自分。
 この地を守るために、仲間を守るために、己を守るために、少女を…守るために。
 そのためならば、この命すら惜しくはない。
 そう…思っていたのだ。








 戦いは熾烈を極めていた。
舞い散る紅と、篭る熱。
 決して楽に勝てる相手でない事は承知していたし、だが、それでも、この手に持つ力と、仲間さえ居れば、刺し違えてもこの地を守る事が出来る。
 そう、確信していた。


 風と共に揺れる木々。
 耳を塞いでいても聞こえてしまう…少女の、嗚咽。
 惹かれあっていた事は知っていた。
 共に歩もうと、不器用ながらも未来を見ようとしていた事も知っていた。
 だから、選んだ道でもあったのだ。
 目を瞑り、耳を塞ぎ、想いに強く蓋をして、ただ…ただ、少女の幸せだけを願い…



「………すまない」
 神木の枝の上。
 垂れ込める葉に身を隠し、クウソは幹に当てた手を握り締め、強く、強く瞼を閉じる。
 謝罪の言葉など意味は無く、何度告げた所で彼の存在はこの世に蘇りはしないのだ。
 そんな事は解っている。
 それでも…
 木々が開けた先。
村を見下ろす高台に置かれた、墓石にしては小さすぎる石が二つ。
 白い花が揺らめくその傍らで、少女はただ一人、泣いていた。
強い眼差しも、輝く笑みも今は見えず、ただ一人だけの名を呼び、叫び、嘆き、誰も責めず、己だけを責め続け…
側には寄れない。
近づくことすら許されない。
自分の姿を見れば、優しすぎる少女は、哀しみすらその心の奥底へと閉じ込めてしまうから。
それが解ってしまうから…
「償いになど、ならぬかもしれないが…」
 あの瞬間。
 咄嗟に浮かんでしまった少女の笑顔が、全ての運命を狂わせた。
 生を掴むべきものは消え、消えるべきものが生きている。この矛盾。
 ならば…
「全ての運命を正すために…」
 オマエが笑顔を取り戻すために…

 来世こそ、オマエがオマエの道を歩めるように…

 正さなくてはならない。
 歪んだ道を。
 歪んだ想いを。
 そして…



 ザ……ァ……



 枝が撓み、葉が揺れる。
 ヒラリ、黒い羽が空へと流れ。




 全ての運命が紡がれる、それは記録にすら残らぬ、始まりの…詩。




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あとがき。

このお話しは、実は日参させていただいているサイト様のイラストに触発されて、サイトマスター様に許可を頂き、書かせていただいた作品だったりします。
クウソノミコトはゲントウカと玉依姫が想いを通わせているのだと解っているからこそ、一人生き残った事が許せなかった。
だからこそ、今度こそ二人には幸せになって欲しいと願ってしまった。
けれど、生まれ変わり、血を幾時も経て現れたその存在が、決して玉依姫という名を持ちながらも、自分が知っている玉依姫ではない事を、その時のクウソノミコトは失念していた…というイメージです(長)
もっと文章が上手だったら、素敵イラストにもっと合うようなお話しを書けたのに…と力量不足に凹みつつ、もちろん、このお話しは、素敵イラストを描かれる、鷹乃様に進呈させていただきます。
返品はもちろん可能ですー
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COMMENT



感動

2012-06-05-Tue-06:58
すごくいい詩ですね
私、玉依姫とゲンドウカが一番すきなんです
感動しましたこれからも
いっぱい書いていってください

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