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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

ゆめの中の物語。(翡翠:晶×珠洲)

2008-04-18-Fri-02:25







【ゆめの中の物語。】

(翡翠:晶×珠洲)










『晶くん、晶くん』
『何?』
『おたんじょーび、おめでとー』
『……別に』
『それでね、珠洲ね、何がいいのか、ずーっと考えてたの』
『………で?』
『うん。あのねっ』


 さわさわと流れる風と、目の前を通り過ぎていく白い花。
 晶はうっすらと瞼を開き、ぼやけた視界に空を映す。
 咄嗟に、何故こんな場所…そう、横たえた体の下には青々とした草が生えていたり、日陰を作る木に満開に咲いた桜の花がついているのか疑問に思うも、すぐに、ここが家の近くの林の中で、いつも昼寝をしているお気に入りの場所なのだと気がついた。
 随分、懐かしい夢を見ていた…そんな気がする。
 原因は、考えなくとも解ってしまった。
 今日の日付。
 共に居る相手。
 たった二つのキーワード。
 晶はゆっくりと視線を巡らせば、予想通りというか何と言うか、桜の幹に背を預け、やはり夢の世界へと旅立っている少女が一人。
 自分がこの場所に来た時は一人だったのだから、間違いなく、自分を見つけ、起きるのを待っているうちに寝てしまったのだろう。
 腕をつき、体を起こす。
 音を立てぬように少女へ近づき、その目の前で座り込む。
 すうすうと零れ出る寝息は眠りが深い事を示しており……

 あの時、幼い自分と幼い少女。
 今日のように空は晴れ、今日のように桜が咲いて。

「……珠洲」
 起こさぬように名を呼んで、晶は指先を少女に伸ばす。
 口元に浮かぶ笑み。
 溢れ出る…想い。
 勾玉を破壊して、恋人と名のつくものになってから、自分がこうして少女に触れるのは、そんなに無かった様に、そう、思う。
 幼馴染の延長。
 色気の無い触れあい。
 幾度も口付けを交わしても、どこか照れくさく、それはまるでオママゴトのような…

 親指で赤い唇をなぞり、うっすらと開いたその場所へと爪の先を触れさせて。
「…珠洲」
 欲の含む声。
 穏やかな時。
 穏やかな空間。
 そんな事は解っている。
 この、柔らかな一瞬を壊すつもりなど欠片も無い。
 けれど…
 嗚呼、けれど…

 今日は自分の誕生日で。
 フラッシュバックする暖かな思い出。

 重なる年と共に、成長するのは、きっと少女と同じものでは決して無いから…

 指を離し、代わりに唇を近づけて。




『大好きの、キスをあげるね』
『…っ!?』
『晶くん、だーい好きっ』
 頬に触れるだけの、些細な口付け。
 熱くなる頬と、にやける口元。
 可愛くて、大切で。
 ずっとずっと、自分が守ろうと、そう、思った。



「あ…きら?」
 大きく開かれた眼差しに、けれど、唇に触れた吐息に気づいたのだろう。
 瞬時にして赤くなる頬。
 遠ざけようと伸ばされる腕を捕らえ、尚も桜の幹へと押し付けて。
「お祝いを言いに、来たんだろ?」
「そ…うだけど」
「プレゼントは、アレでいい」
「…っ、あ、あれって?」
 泳ぐ視線。
 誤魔化すように口元に浮かぶ笑み。
 けれど、意味を問うその時だけは、自分の眼差しをしっかり捉え。


『す…珠洲は、僕とキスしたんだから、将来は絶対に俺のお嫁さんにならないとダメなんだからね』
『うん。いいよ?だって、私……』


 舞い散る桜。
 伸びる影。
 重なる指と…………




 晶くんの事、大好きだもん。



 かつての少女の言葉が現実のものとして、この世に姿を現した。



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あとがき。

…………すみません、すみませんっ、すみませんーっ!晶ハピバSSを書こうと思って書いた品だったりするんですが、晶のキャラが微妙?微妙ですよねっ(涙)
…なんというか、幼馴染ポジションは、個人的に大好きです。
晶と珠洲はこう、小さな恋のメロディみたいになればよいと思います(笑)
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