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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

零れ行く砂の欠片。(遥か4:忍人×千尋)

2008-07-05-Sat-02:34





【零れ落ちる砂の欠片。】

(忍人×千尋)








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 空へ舞う薄紅色の花。
 目に眩しいほどの白い日差し。
 届く声は心地よく、消え行く笑みは愛しかった。
 何故、これほどまでに想いが大きくなってしまったのか。
 今にも消え行く命を知りながらも、忍人はそんな事を考える。

 少女は王家の血を引く存在で。
 理屈など抜きにしても、守るべき存在で。
 そう、ただ、それだけだったはずなのだ。
 それなのに、気付けば目で追い、少女の涙を見たくはないと思うようになっていた。
 少女の元で集う人々の姿を、豊かな国を。輝かしい未来を。
 戦に破れ、命を失いかけたあの瞬間に失った全ての夢を見たいと願い。
 そして………

 閉じ行く瞼。
 頬を伝う雫。
 望んでいたはずだ。
 少女が玉座につく、この瞬間を。
 願っていたはずだ。
 中つ国が光り溢れる、この、瞬間を。

 けれど…

 落ちた掌は拳を握り、胸を締める悔恨の念。
 近づきすぎてしまったのだ。
 触れすぎてしまったのだ。

 この道を進めば、それで満足だった。
 そう、かつての自分は、それだけで……



「千尋…」




 微かな声が唇から零れ、閉じた瞼に浮かぶ少女の笑顔。




「君は…王なのだから………」



 あぁ、けれど、笑みは泣き顔に。
 王の仮面は剥がれ落ち、ただの少女に姿を変える。




 誰か、少女に告げて欲しい。
 君は王なのだから。
 王とは、取り乱してはならなくて。
 民の前では毅然としていなくてはならなくて…



 それなのに……



 消え行く意識。
 唇へと落ちた薄紅の花。


 もし、もっと早く出会えていれば…





 そう、回廊を歩き、横を通り過ぎ、少女を視界に留め、言葉を交わす。ただ、それだけの出来事を…






 散り行く桜。
 落ち行く景色。
 色を変えた世界は暗く。



 産声を上げた世界と共に、青い空は海へと沈んだ。




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あとがき。

忍人EDのお話しです。ラブを書こうと思ったんですが、どうしてお、どうしてもっ!このシーンが書きたくて。
や、EDで語られているんですけれど、あの場面で涙ちょちょぎれたんですけれど、だからこそ、触れる事の無かった唇や、死に間際のあの瞬間をもっと、もっと書きたかったんですー(叫
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