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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

三角な関係。

2008-08-05-Tue-12:42


【こっそり緋色3カウントダウンSS】


三角な関係。

(慎司×珠紀)…前提。









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「珠紀先輩」
「珠紀様」
「僕と」
「私と」
『一体どっちを選ぶんですか?』
「…………はい?」



時は、日も傾き空がオレンジ色の染まった頃。
 蝉の声もナリを潜め、代わりに、どこからともなく涼しげな虫の声が聞こえてきた。
 流れる風は涼しくて、ほんの少しだけ…と、縁側で瞼を閉じたのが原因だたと言えばそうなのかもしれない。
 珠紀は、耳に届いた声に瞼を開き、完全に日の落ちた景色に瞬きをする。
 障子一枚隔てた向こう側の部屋でも、電気などついていないのだろう。
 空に輝く月明かりのみが、庭を幻想的に照らしていた。
 そう。そこだけ見れば、物語のワンシーンのような現状。
 けれど…

「珠紀様っ」
 右から聞こえる声は自分よりも年下の少女のもの。
「珠紀先輩っ」
 左から聞こえる声は、自分よりも年下の少年のもの。
 未だ、ぼやけた視界を、何度も瞬きをする事で焦点を合わし、珠紀は右、左と順々に視線を向けた。
 今までも何度か思ってはきたものの、こうして見比べてみれば、兄妹と言うとおり、二人の容姿はとてもよく似ていて…
「やはり、私の方が珠紀様に相応しいと、お兄様に言ってくださいませ」
「へ?」
「違いますよね、先輩。あの時、貴女は確かに僕を選んでくれました」
「う?」
 両側から詰め寄られ、それぞれに触れられる肩。
 美鶴が慎司に対してこんな態度を取る事は珍しくはないのだが…
 珠紀はそっと慎司へと視線を向ける。
 いつも穏やかな笑み。
 守ってあげなければいけない…と思ったのは、本当に出会った最初の頃で。
 言葉を交わし、その姿を目にし、決して表に出る事のない、彼の勇気に、覚悟に、やさしさに…次第に心惹かれていった。
 あの戦いの最中でも、彼のこんな姿を見た事はなくて。
「し…慎司君?」
 かけた声に慎司が珠紀に視線を向ける。
 彼らの問いに対する答えは未だ口にはしていない。
 寝ている間に一体何が起きたのか。
 そして、彼らは何故そんなにもヒートアップしているのかが知りたくて…
 耳に届く溜息。
 視界の隅で、珠紀の腰に腕を回し、離すものかと抱きしめる美鶴の姿が僅かに映った。
 思わず浮かぶ笑み。
 いや、決してそっちの趣味があるわけではないのだが、それでもかわいい女の子に懐かれて、嬉しくないはずもなく…
「…先輩は」
 耳を打つ声は、彼でありながら彼のものでは無いかのように低くなり。
「え?」
 肩へと置かれた手はそのまま引き寄せるように力を入れられる。
 近づく相手の顔。
 触れ合う額。
 真剣な眼差しと。
 
「美鶴ちゃんにも渡しません」

 ゆっくりと上がる口角。
 唇に微かに触れる吐息。
 虫の声よりも更に大きく、美鶴の怒りの波動が伝わって…


「珠紀様、私ともお願いしますっ!」
「ちょ、み、美鶴ちゃ!?」
「美鶴ちゃんは、さっき寝ている先輩にしたじゃないか」
「あれは、気のせいですっ!」
「て、え、えぇっ!?寝て!?」

 おもむろに露になった言葉の原因。
 まさか、女の子に寝込みを襲われたとも思ってはいなかったけれど…


「珠紀先輩!」
「珠紀様!」
「僕と」
「私と」
『一体どっちを選ぶんですかっ!?』
「あははははは……」

 口から出るのは乾いた笑い。
 解っている。
 二人はとても真剣で。
 とてもとても真剣で…


「どうしよう、でも、何か…嬉しい」


 慎司には悪いと思いつつ、それでも、恋人とは別次元で珠紀は美鶴も好きなのだ。
 だから、今は……

「ふ、二人とも大好き……」
『珠紀先輩(様)!』
「じゃ、ダメだよねぇ…」


 日中ほどの暑さは失せたが、それでもまだまだ暑い夏の夜。
 宇賀谷家内で行われる三角関係の行方は…そう簡単にはつきそうにない。





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あとがき。

慎珠です。……美鶴×珠紀に見えそうですが、慎珠です。
色気はないですけれど、書いていて実は楽しかったです。ビバ、珠紀の取り合い。一緒に暮らすようになって、慎司君も少しは美鶴ちゃんに勝てるといいねという、願いも込めて。
…でも、慎司君よりも、やっぱ、美鶴ちゃん目立っている気がするなぁ…
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COMMENT



お嬢さまへ。

2008-08-06-Wed-14:15
お嬢さま、こんにちはーっ。コメントありがとうございますっ!うふふふふ(にやり)珠紀を挟んでの美鶴と慎司の三角関係。楽しんでいただけたようで何よりです。
最後の最後で美鶴ちゃんが勝ちそうな気はしますが…(え?)
私も守護者の三角関係は昼メロっぽくはならないんじゃないかなと思います。こう、相手を認めているからこその静かなる戦い?(違)でも、三角関係は三角関係で結構好きなんですけれどねw
おぉ、お住まいの所はもう既に涼しいのですね。いいなぁ。長野はまだまだ暑いです。ゆだります。バテます。
でも、お嬢さまの励ましを力に頑張っていきたいと思います。コメント、ありがとうございましたーっ!!

管理人のみ閲覧できます

2008-08-05-Tue-20:56
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