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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

温度計。

2008-08-09-Sat-01:00





温度計。


(祐一×珠紀)

※注意※

このお話しは、緋色3が元ネタ&ネタバレとなっています。
プレイ直後のパッションのまま書いているので、文章としては微妙です。
それでもよろしければ、↓へとオススミください。






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 彼女が誰よりも強いという事を、きっと彼女自身すら気付いていない。


「ごめんなさい」
 耳に届く声。
「ごめんなさい」
 閉じられた瞼から零れる雫。
 嗚咽を零し、溢れる涙を両手で隠し、少女は己の言葉に涙を流す。


 手の中には陽の鏡。
 陰の世界と陽の世界を繋げる道の一つ。

 少女は一人で行くつもりであった。
 鏡を使い、自分達をこの世界に残し、一人で全てを抱え込み。
 怖いだろう事はその眼差しを見ればすぐに解る。
 逃げたいだろう事は震える指先を見ればすぐに解る。
 それでも、少女はついてきて欲しいとは告げず、一人であの世界へと行こうとしていた。

 皆を守るため、祐一を守るため。
 戦うのだと決意して、守られるべき存在であるにもかかわらず。

「私……弱くて…」
 落ちる声。
 決して沈まぬ太陽の光が、室内を照らしていた。
 掌を握る。
 唇を開く。
「………っ」
 おまえは弱くない。
 そう、告げるはずだった。
 だが…
「弱いことは、罪か?」
 口から出たのは、少女の弱さを認める言葉。
 違う。
 少女は強い。
 誰よりも強い。
 前を見つめ、己を見つめ、決して諦めぬ想いをその胸のうちに秘め。
 だが、…少女は、とても脆かった。
 硝子の欠片のような透明な雫が、両目を抑える少女の指から零れ落ちる。
 日は沈まねど、時は経つ。
 流れる風に、額に触れる髪が揺れた。
「死にたくなくて」
 耳に届くかすれた声。
 そう、思う事すら罪だとでも言うように、少女は震える唇で言葉を紡ぐ。
一人で行くのだと、少女は告げた。
もう、祐一は限界で、もう、戦うことなど出来ないだろう。
 共に行けば傷つき、最悪の場合死ぬことすらあるかもしれない。
 だから、共に行く事は出来ないと。
 けれど…
熱くなる胸。
 少女の口から告げられた本音。
死にたくない。
生きていたい。
共に行けば、祐一を傷つけるだろう事は明白で。
それでも…

口元に浮かぶ笑み。
「生きたいと思うことは弱さじゃない」
 そう、弱さであるわけがない。

 自分達を心配し、自分達を守ろうとし、自分達のためにその命を燃やし…
 その決断を決めるのに、いかほどの勇気が必要だったろう。
 死ぬかもしれない。戻れぬかもしれない。
 それでも、守りたい。

 少女は強い。
 何よりも強い。
 きっと、自分達の誰よりも…


 だから…


「俺は、むしろ嬉しかった」


 見えなかった少女の、自分だけにさらけ出された、それは………


 私には、貴方が必要なのですと、届かぬ声に瞼を閉じる。

「本当に弱いのは…」

 続く声は宙に消え、離れた両手に温もりのみが残っていた。




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あとがき。

書いていて、色々矛盾。
祐一は、珠紀が強いと思っていると思います。でも、珠紀は自分を弱いと思っていると思います。
微妙な擦れ違い。完全に重なる事のない思考。繋がっているように見えていて、危うい絆の姿が書きたかったんですが。文章力不足。もっとがんばりましょう。

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