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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

カゲ。

2008-08-18-Mon-04:58







カゲ。

(大蛇×珠紀)


※注意※

このお話しは、緋色の欠片3 蒼黒の楔を前提として書かせていただいた作品だったりします。
間違いなく、蒼黒の楔をプレイしていないと解らない場面が出てくるかと思いますので、それでもよろしければ、↓へとお進みくださいませ。














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 おそらく、貴女は解っていないのでしょうね。

 自分達を見下ろす五瀬の影。倒れ付す仲間達。
 絶望にその眼差しを染め、震える少女を見ながら大蛇は思う。







 もう駄目だ…

 きっと少女はそう思っているのだろう。

 死ぬしかない。

 きっと少女は覚悟しているに違いない。
 だからこそ…と大蛇は思う。

 この陰の世界に逃げてきて。
 立てた策は見破られ、囚われ、傷だらけになって。どう考えたところで、勝てる見込みあるはずもなく。
 だが…

「絶対に戦いに負けない方法を教えます」

 告げる言葉に、少女の眼差しが大きく開く。
 ほんの僅かに灯る希望。
 きっと、少女の頭の中には、自分が策を何かしら用意しているのかもしれないと…そんな事を思っているのかもしれない。けれど…

「諦めてはいけません」

 歪む眼差し。

「どんなことがあっても、諦めてはいけない」

 再び訪れた絶望。
 不安に彩られ、今にも泣き出しそうに瞳は歪み。

 そう。一見すれば、それは現状に似つかわしく無い夢のような願い。
 諦めなければこの窮地も、仲間の惨状も、全てが良い方へと進み、皆が笑いあったあの頃に戻れると。
 ありえない。
 ありえるはずがない。
 それでも、大蛇は言葉を紡ぐ。
「みっともなくてもいい」
 自分達は一年前、負けるべき戦いを勝ち抜いてきた。
 諦め、足掻く事をやめ、幾度…瞼を閉じようとしていたのか、もう覚えてはいないけれど…
『諦めちゃだめなんですっ!』
 たった一人の少女の言葉が、闇の中で輝いていた。
『生きましょう。大丈夫っ!』
 何も出来ない、宿命を背負わされた哀れな少女だけが、未来を見つめ、進んでいた。
 何も知らないから…そう、思っていた。
 自分達を本当の意味で理解する事など出来はしない。
 それは、今も思っている。
 けれど、逃げる事が出来たのに。知らぬ事と目を背ける事が出来たのに。それでも、そこに立ち、挑み。
「愚かでも、みっともなくても、嘆きながらでもいい--」
 あの時、自分だけではない。誰もが少女に光を見ていた。
 前を進む強さ。潔さ。力など自分達の半分も無いだろう、この少女に…

 あの時の少女ほど、自分は少女の支えになれていない。
 本当の意味で、少女の支えにはなれていない。
 だが、それでいい。

 今、この時、この瞬間。あの時の少女がそうであったように、ほんの僅かでもいい。
 自分が少女の光になれるのであれば…

 だからこそ、大蛇はその眼差しに光を込めて。
 力を込めて。
「希望は見つけるものじゃありません」
 そう。希望とは…

「作るものです」


 弾ける光。
 驚いたように大きく揺れた少女の体。

「なかなか、貴女のようには行きませんね」

 悔しいことに、言葉だけでは少女の不安を拭い去る事が出来ない自分は、まだまだ未熟で。

「小細工を使ってようやく、同じ場所に立てるとは…」
「卓さん?」
「いえ…」

 息を吸い、瞼を閉じる。
 口元に笑みを浮かべ、瞳を開き…




 闇色の空。
 周囲を照らす力の波動。
 何よりも輝くものは、いかな闇であっても、いかな光であるとしても、存在を消す事が出来ないのだと。



「五瀬さん…貴方の最大の敗因は…」


 他でも無い少女を敵に回したことなのだと。大蛇は告げずに笑みを浮かべた。



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あとがき。

大蛇、慎司ルートに入り、結界を解くほうに回るか、それとも大蛇と共に五瀬さんの意識を反らす方にまわるかで、大蛇さんと一緒の方の選択肢を選んだほうのストーリーです。
罠にかけるつもりが罠にかけられたあの場面です。
個人的に、蒼黒の楔では守護者と珠紀の信頼の在り方が違うんじゃないかと思って書いてみました。
緋色1で、守護者は珠紀の存在に救われて、緋色3でその信頼は変わる事はないんですね。でも、珠紀はどうなんだろうと思って…緋色1では救うほうに入っていた珠紀が救われる側になった時、まだ、この段階ではあの時の守護者ほど、珠紀自身は守護者を信頼していない…わけじゃないんですが…うーん。うーん。上手く言えませんけれど、でも、もし、全てに絶望してしまった時、今の守護者では緋色1での珠紀ほど珠紀の中での支えになる事が出来ない。そんな感じをイメージして書いてみました。意味解らないですね。はい。すみませんorz
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