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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

羽衣。(遥か4:柊+千尋)

2008-09-17-Wed-02:16





【羽衣。】


(柊+千尋)









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 空に広がる青空の下、足元の砂を踏みしめながら、千尋は柊、布都彦と共に歩いていた。
 頬を撫でる風は柔らかく、鼻腔擽る潮風はその場に似つかわしいほどに晴れやかで…
 だが…

「………」
 黙りこむ布都彦を横目でみやり、千尋は先ほどの光景を思い出すように瞳を伏せる。
 いつものように、そう、柊は詩人であるならば…と告げてはいたが、詩人さながらに真実の篭らぬ口調で歯のうく台詞を告げ、それに同意する布都彦の姿。
 そこに道臣が現れたのは偶然で…

「姫、私は訓練がありますので、ここで」
 思いつめたような顔をし、立ち止まる布都彦に、千尋はゆっくり瞳を向けた。
 いつも太陽のような彼の、彼らしからぬ血の気の失せた顔。
 何か声をかけようと、僅か唇を開くも、声を発する前に視界に入る姿は背へと変わり、遠ざかり…
 
「柊」
 それは、もしかしたら気のせいなのかもしれない。
 あの時、狼狽する道臣、声を荒げる布都彦、彼らしくなく苛立ったように言葉を紡ぐ柊。
 同じ事で言葉を重ねているように見せかけて、その実、まったく違う事で心を乱しているように、そう、見えたから…
 髪を焼く日差し。
 耳に心地よい潮騒。
 足元に留まっていた影は徐々に伸び。
 隣で聞こえる含み笑い。
 そして……

「我が君。決して目に見えるものが真実ではないのだと、貴女は覚えておいていただけませんか?」
「柊?」
「それぞれの真実があり、それぞれの定めがあり、ですが……」
 向けた眼差しに映る影。
 笑みを浮かべていながらも、どこか影があるその瞳に気付いたのはいつだったのだろう。
 近づいているのに近づけない。
 知れば知るほど遠ざかる。
 今、手を伸ばし、彼に触れようとしたところで、触れる事が適わないのではないかとすら思ってしまう。
 何故なのかは解らない。
 彼は自分を見てくれている。
 彼は自分を裏切らない。
 彼は側にいてくれる。
 けれど………

「……………っ」

 舞い上がる彼の髪。
 消える彼の声。

「さぁ、我が君。本当に道臣殿に怒られてしまう」
 話は終わったとばかりに告げられる言葉。

 答えの出ぬ真実は空へと消えて、再び動き出した足は時を紡ぐように砂を蹴る。

 昼の月が空へと昇り、ただ…砂浜に残る足跡を照らしていた。



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あとがき。

おそらく、最後になるだろう遥か4SSです。しかも、これも昔書き終わっていて、アップするのを忘れていたというオチが…(遠い目)
解っているんです。忍人が人気だという事はっ。でも、やっぱり、柊が個人的には好きなんですよぅよぅ。
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