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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

華。(薄桜鬼:土方×千鶴)

2008-09-22-Mon-03:06





【華。】

(薄桜鬼:土方×千鶴)

ED後。ネタバレ有









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 あぁ、だからなのかもしれねぇな…


 透き通るような青空。
 視界を埋め尽くすような桜花。
 風と共に舞い上がる色を視界に入れて、土方は、口角をほんの僅かに動かした。
 あの戦いから既に数年という年月がすぎていた。
 戦いの日々に身をおいていた時からは考えられぬほどの穏やかな時。
 刹那の輝きの中、己の中の誠を掲げ、後ろを見ず、立ち止まる事をせず、己自身を信じ歩んできた。
 その結末は決して望み、目指していたものではなかったけれど…

「土方さん?」

 隣から聞こえるその声に、土方はゆっくり視線を落とす。
 黒い髪を揺らし、出会った時よりも格段に大人びて、美しくなった少女の姿。
 そう、出会った時は本当に、幼いただの子供に過ぎず。
 愛され、守られてきたのだろう。
 自分達とは考え方も行動も、その覚悟すら違っていて、それでも、見捨てる事も切り捨てる事も出来なかったのは…

「今更、ンな事に気づく事になるとは思わなかったが…」

 触れる少女の掌。
 心配そうに己の瞳を覗き込むその眼差しに、土方は紫色の相貌をそっと細めた。
 時折…
 そう、時折少女は今のように心配そうに自分を見つめる時がある。
 理由など、聞かずとも解ってしまう。
 少女は恐れている。
 自分が少女の側からいなくなる事を。
 少女は恐れている。
 自分がこの世から消え行く事を。
 だが…
「阿呆が、ンな顔してンじゃねぇよ」
 土方は少女の鼻先を指で弾き、膨れるその表情に笑みを零す。
 そう、恐れる必要などありはしないのだ。
 己の命は限られていて。
 無限に少女の側に居る事はできないだろう。
 けれど…

 舞い散る桜。
 青い空。
 視界に入る少女の姿を、己はかつて、桜がよく似合うとそう告げた。
 何故、そんな事を言ったのか。あの時の自分はその理由が解らず、また、知ろうとすら思わなかった。
 だが……


 そこにはめいいっぱいに枝を広げた桜の老木。
 むき出しの土に御座を敷き、多種多様な酒で周りを囲む。
 左之助はいつものように、横一文字に入った腹を皆に見せ、新八はそれを見るやいなや、炭を片手に顔を描く。やんややんやと声を上げ、煽っているのは平助で…
 山南は呆れたように皆を見つつ、けれど、頬に上る朱から酔ってはいるのだろう。座る隊士の肩に手をかけて、あぁでもない、こうでもないと、説教に近い言葉を紡ぐ。
 それを嬉しそうに見つめるのは近藤で、総司は、逆にどこ吹く風と傍観を決め込みながらも、余計な一言を落としては、尚もその場の騒ぎを大きくしている。
 溢れかえるほどの笑い声。
 自分は近藤と酒を酌み交わし………



「花が…」

 聞こえた声に、土方はゆっくりと瞬いて、再び空へと視線を向けた。
「オマエにゃ、桜がよく似合う」
 そう。
 薄紅色の華を枝につけ。
 眩しいほどの花弁を空へと散らす。
 桜の花が儚いとは、己は決して思わない。
 むしろ……

「土方さん?」

 問われる声に、土方は掌を少女の頭へと乗せて踵を返す。
 少し遅れてついてくる、その足音は、ずっと…そう。ずっと聞いてきたその音で。

「桜ほど強い花を、俺は…知らねぇよ」

 囁くその音は、通り過ぎる風と共に空へと消える。
 【薄桜鬼】
 その名を己とするならば…

 掌に触れる温もり。
 向けられる眼差し。
 零れる笑み。
 
 そう。
 自分は薄桜鬼なのだろう。
 桜に焦がれ、桜と共に。
「上等じゃねぇか」

 血に染まった新撰組の副長が華鬼とは世も末だと思いはするが、それでも…


 視界を横切る桜の花弁。
 一瞬聞こえた仲間の声に、土方は、音にすらならぬほどに小さな…小さな、願いを告げた。




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あとがき。

文才っ!文才をくださいっ!!(切実)
何を書きたかったのかというと、桜は個人的に、すごく儚いイメージがあるんですが、でも、同時に強い感じもするんですよね。
見る人によって、変わってくるイメージというか…なんというか…
土方さんにとって、桜とは、仲間と過ごしたあの日々。そんな感じをイメージして書いてみました。
散りゆく際の美しさ。
でも桜は、散らなくとも、その美しさは決して変わる事はないのです…と、言い切っていたり。

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