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朱色の刻

ゲーム「緋色の欠片」の二次創作小説ブログです。真珠をメインに守護者×珠紀を目指しています。他にも翡翠、悠久、VitaminXなど、NLオンリー乙女ゲーム中心に書いています。

本日猫を飼いました。4 (薄桜鬼SS)

2008-11-14-Fri-22:41





【本日猫を飼いました。4】

(薄桜鬼SS:一部キャラ×千鶴)









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 パタリと閉じられた障子の音に、山南は溜息と共に額に掌を当てていた。
 こんな時に限って次から次へと来る来客は、やはり普段の行いが影響しているのだろうか……

 いや…そもそも、本来ならば然程、人の訪れなど無いこの部屋である。来るとしても、近藤や土方。稀に沖田が来るくらいだ。そう考えると、然程来客が来たようにも思えないが…
 軽く引かれる着物の裾に、山南は視線を上げて、そちらの方へと視線を向けた。
 正座し、流れる己の着物の上に羽織った布の裾を枕に、横になり瞳を閉じる少女が一名。
 どうやら、時間も時間のためか眠くなったらしいのだが…
「本来ならば、猫は夜にこそ動くものだと思っていましたが…」
 狂い始めたきっかけは、間違いなく少女がこの部屋に来た事だろう。
 少女が来なければ、このような現状が訪れる事が無く、なんら変わりなく、羅刹隊の隊士と共に、血の匂いが付きまとう、巡廻と言う名の食事へと向かっただろう。
 この際、自分が血を飲まない…などという事は関係ない。
 自分は、彼らが何をするかを知り、認め、そして、それを見る。
 零れ落ちそうになるため息を、奥歯を噛み締める事でそれすら封じ、もう、浮かべる事すら少なくなった笑みを消し、山南は手元へと視線を戻す。
 妙に感傷的な気分になる。
 自分は決して後悔などしてはおらず、そして、これからも選んだ道を戻りたいと思う事は無いのだろう。
 だが…
 かすかに聞こえる寝息。
 傍らに在る温もり。
 研究の対象ではなく。
 血を奪いたいと想う衝動でもなく。

 そう…いま少し、少女をここに置いておきたいと思ってしまった。
 なんて、不釣合いな……

 そう、少女が不幸にも、きっと、こんな格好になってしまい。
 まるで、生まれたばかりのひよこが、見たものを親と思いこむかのように、自分に懐いてしまったから、こんな事を思ってしまったのだ。
 一時の夢。
 単に自分は、それにほだされたに過ぎない。
 でなければ…

 動き出す指先。
 音を立てる器具。
 幾つもの赤い液体が揺れ、まるで現実に引き戻すかのように、赤から藍へと色を変えた。

 間違ってはならない。
 自分がすべき事はただ一つ。

 少女を元の姿へ戻す。
 朝日が昇り、世界が目覚めるその時までに…

 だがしかし、新選組の頭脳とも呼ばれる山南であっても気付いてはいなかった。
 夢は未だ続いている。

 それに山南が気付いたのは、ようやく薬が完成し、未だ暗い外を視界に入れた、その瞬間であった。
 僅かに開いた障子の隙間。
 いつの間にか消えた傍らの温もり。
 その意味する事。
 それは、つまり…………


 空は未だ暗く、月は山裾に消え始めていた。
 世界が目覚めるまで後、数刻。
 無事、少女の手に薬が渡るかどうか……は、山南の頑張り次第と言う所だろうか。



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あとがき。


というわけで、久々の「本日猫を~」シリーズです。…本来なら、4で終わるはずだったのですが…終わらなかったです(爽)しかも、山南さんの恋心(?)変…じゃなくて、編。いや、入れるはず無かったのですが、リクをいただいて……千景さんバージョンと左之バージョンが見てみたい……と……
というわけで、上の二つバージョンを入れるための、間という感じで書いてみました。
別名、千鶴脱走編。で・す。山南さんがピックアップしているのは、私が山南さん好きだからです。
えぇ、彼がもう、好きでっ!!(力説)でも、カップリングというよりも、ギャグを目指しますっ!えぇ、所詮、ギャグ体質ですからねっ!
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